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臆病者 ページ29
大野さんの彼女の名前まで聞かされて...
なんてね。
人のせいにするようなことじゃないけど
運が悪かったというかなんというか...
彼女。っていうあやふやな存在じゃなくて
ミホコちゃん
可愛くて年下の甘えんぼの彼女
そんな、想像でしかない人物像が
鮮明に見えてしまった気がして
何とも言えない敗北感に苛まれる
結局遊びのキスだったわけだ
"お前は堕ちるよ"
バカじゃない？って思ったの誰よ
堕ちるはずないって思ったの誰よ
ここに堕ちた
って言えるような
特別なことをされたわけじゃない
それなのに
数回しか会ってない大野さんに
どっぷりと堕ちてしまった自分に呆れて
笑えてきた
いつかまた仕事で一緒になることがない限り
もう、会うことも
抱き締められることも
キスすることもないだろう
大野さん
ワタシの負けだよ
こんなに簡単に負けた
彼女がいる貴方に堕ちた
悪い女と
彼女がいるのに
私を落とした悪い男
けどこれでよかった
小さい傷ですんだから
それだけが救い
結局、偉そうな事言って
ただの臆病者なだけ
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作者名：さわ
| 作成日時：2015年3月21日 0時
