ゆっくり落ちといで ページ15
そしてグッと
腰を引き寄せて
親指で唇をツーってなぞる
っえ？！
ちょ、なんなの..
大野さんの目線が私の唇に落とされて
さっき唇をなぞった手が
首の後ろに回ると
私の唇に、吸い寄せられるみたいにゆっくりと近づいてくる
あと数ミリで
キス...
になるところでピタリと止まった
ドクドク動く心臓が痛くて
呼吸が上手く出来ない
ダメだ
大野さんがヤバイ
って頭の中に危険信号が出てるのに
拒否できない
「ふふ
心臓止まっちゃいそうだね」
って耳元で
呟きながら
腰を抱いてた手で私の胸を押さえる
ソレがばれてることも恥ずかしいし
この空気にも耐えられない
今までこういう場面があっても
上手くかわせてきたのに..
大野さん..
なんで.....ダメだ。
「まいっか。
心臓止まっちゃうと困るし(笑)
しゃ〜ねぇな
ゆっくり落ちといで」
"ゆっくり落ちといで"
恐ろしく色っぽい声の内緒話が耳にひびく
それから
ふふって笑って
耳をちゅーって吸った
あまりの緊張と
この雰囲気からの解放とで
一気に強ばってた体の力が抜ける
膝が、ガクンて落ちて
ヘナヘナ〜てなって
大野さんの真ん前で座り込むと
大野さんもしゃがんで私の顔を覗きこむ
「・・・・・・」
真っ赤。めちゃくちゃ顔、真っ赤だ絶対
「んふ
かわえぇ」
ふにゃんて笑って
頭をクシャッてなでる
大野さん..
酔っぱらってんじゃないの？？
フリ？？！！
「帰るべ」
って私をよっこらせって立たせると
放心状態の私を見て
ほほをスリスリって撫でて
ニヤッて笑う
つ、つかめない。
大野さんいったい何なの..
これからもしばらく付き合っていかないといけない人なのに
一気に不安になった
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作者名：さわ
| 作成日時：2015年3月21日 0時
