episode1-8 ページ9
「魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!」
耳から炎が出ている狸が使う魔法は恐らく炎だ。
「みんな伏せて!」
『みんな伏せろ!』
リドルとAの同時に放った鋭く尖った一言が鏡の間に響く。
「ん゛な゛〜〜〜!!」
空中にいる梟が紅く染まった。
不死鳥。またの名をフェニックス。
青い炎と赤い炎。差は歴然としている。
だが、それを打ち砕く程Aの梟には力があった。
「うわあ!!あちちちっ!尻に火が!」
不死鳥は鏡の間の中を飛び回る。
それはグリムを引き付けようとしているのか、パニックとなっている鏡の間をおさえる為か。
「このままでは学園が火の海です!誰かあの狸を捕まえてください!」
クロウリーの声で飛び回っていた不死鳥が止まった。
「チッ……かったりぃな」
「アラ、狩りはお得意でしょ?まるまる太った絶好のオヤツじゃない」
「何で俺が。テメェがやれよ」
フードで隠れて表情が見えないA。
Aの意思表示が出来るのは今の不死鳥だけだ。
「クロウリー先生、おまかせください。いたいけな小動物をいたぶって、捕獲するというみなさんが嫌がる役目、この僕が請け負います」
ヴィルとレオナが話していても決着が着かないと判断したのか、アズールがクロウリーに言う。
「さすがアズール氏。内申の点数稼ぎキマシタワー」
本心は内申の点数稼ぎの為だったらしい。
「なあ、誰かオレのケツの火ぃ消してくれてもよくねえ!?」
「みなさん、私の話聞いてます!?」
クロウリーはそう言いながらも、Aの方をチラチラ見ていた。
不死鳥となった梟を操っているAの表情が読み取れないからだろう。
「はぁ…。狸捕まえるくらいアンタがやりゃいいだろ、センセー」
「オレ様は狸じゃねーって何度言わせるんだゾ!偉大なる魔法士になる男・グリムとはオレ様のことだゾー!」
煩いんだよ─僅かに呟かれた一言はクロウリーの耳にだけ届いた。
「威勢のいい小動物ですね。リドルさん、お願いできますか?」
「違反者は見逃せないからね。さっさと済ませるとしよう」
その間も不死鳥はずっと空中で止まっている。
なのに、瞳が光っているのはAの心境のせいか。
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Lynn - 見たよ。このストーリー、最高に良かったよ。後ね、コメントはタメでいいよ。丁寧じゃ堅苦しいから (2022年8月13日 6時) (レス) @page12 id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
樺南澪(かなんれい)(プロフ) - Lynnさん» コメントありがとうございます。頑張ります (2022年7月13日 5時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
樺南澪(かなんれい)(プロフ) - Lynnさん» そうなのですね!ゲーム内だと悪めに描かれがちですが、私もクロウリー好きです。 (2022年7月13日 4時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
樺南澪(かなんれい)(プロフ) - 花猫さん» 返信が遅くなりて、申し訳ありません。誤字のご指摘、ありがとうございます。直しましたが、どうでしょうか?コメントありがとうございます。 (2022年7月13日 4時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - 実は、自分もディアクロウリー推し!更新頑張ってね (2022年7月9日 20時) (レス) @page2 id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひらり | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2020年8月23日 0時