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高校卒業間近で、父子家庭から解放された
癌だった父が、病院で亡くなったと教室で聞かされた
私が着く頃には弟がランドセルを背負って、安堵の表情で待っていた
「お姉ちゃん、これからどうするの?」
『私が働くから、安心して』
中学生の弟に沢山のことをした
どんなにバイトで疲れていても、勉強が手につかなくても
弟にだけは苦労をさせまいと、塾には行けないのでマンツーマンで教えた
そのおかげもあってか、高校卒業時には志望校の音大を受験し見事に合格した
その頃には実家を引っ越し、嶺亜の家の近くに引っ越した
身寄りがないからと、嶺亜ママに沢山ご馳走になったりした
嶺「A、今度テレビで水彩画描くんだけどこれどう思う?」
そう言って見せられた絵は、久々の嶺亜の絵だった
大学生以来、彼は芸能活動に追われ、会う頻度も少なくなっていたため、絵を見せ合う機会もなかったのだ
あの頃より上達していて、自分も負けてられないなと思った
『嶺亜らしい絵だね、いいと思うよ』
そう伝えるといつもの笑顔を向けられ、弟の方へ立ち去っていった
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作者名:瑠乃 | 作成日時:2022年8月3日 16時