私、普通のキャバ嬢です。【東リべ】

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佐々木杏奈side


「ふぅ〜、今日も頑張りますか〜！」

着替えを終えて、早速店に出ようとカーテンを開けると、奥から何やら話し声が聞こえてくる。


「〜〜！！……〜！」


「え……これ、エミさんの声？」


聞いたことも無いような叫び声のようなものが聞こえる。
気になって、恐る恐る声のする方へと近づいた。


エミ「もう1回叩かれたいわけ？」

「！」


やっぱりエミさんの声だった。
いつもはふわふわニコニコしてるのに驚くぐらい低い。


「あそこにいるの………A！？」


エミさんの奥に、困った顔のAが立っている。


『嫌です。せっかく灰谷さんたち来てくれたのに、絶対帰りせん。』

エミ「っ、」



なるほど、と思った。
エミさんは、Aばっかり灰谷さんたちに気に入られてるのが気に食わないんだ。

いつもエミさんが羨ましそうに蘭さんたちを見ていたのを知っている。



((パシンッ!!))


『いっ…』

「なっ…！」


エミさんがAの頬を思いっきり叩いた。


「エミさん！！何してるんですか！！」


私は思わず止めに入った。


『杏奈…？』

エミ「調子乗ってんじゃないわよ！」


しかし私が引き留めるだけじゃエミさんは全然止まってくれなかった。


『やめてください！』

「(ど、どうしよ……誰か呼んでこなきゃ！！)」


私は急いでフィッティングルームを出た。


「は、灰谷さんたち……灰谷さんたち呼ばなきゃ！！」


こういう時に、うちのオーナーは絶対役に立たない。
私は全速力で灰谷さんの座っているテーブルを目指した。

蘭さんと竜胆さんとは一度も話したことがない。
正直話しかけるのはとても勇気がいるけど、それよりもAが第一優先だ。

まさかエミさんがあんな人だなんて……Aのこと、叩いたの絶対許さないんだから！！チクってやるんだから！！



「蘭さん！竜胆さん！…ﾊｧ……ﾊｧ……」

蘭「A……って違ぇじゃん。」

竜胆「なんか今日こーゆーの多くね？ダルいんだけど。」

「っ、」


冷たい視線に怯むが、しっかりと話さなければ。


「た、助けてください！Aが！」

蘭「は…？」

竜胆「Aが何…？」

「エミさんが凄い勢いでA怒鳴って、Aにビンタして！」

蘭/竜胆「「！」」


息切れしてるし、パニックで説明がド下手くそになってしまったが、状況は伝わったようであった。


蘭「それどこ。」

「こっちです！フィッティングルーム！」


二人は顔色を変えた。

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