広い空の下で (ページ27)

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3話ページ27

「そんなステラちゃんにじいちゃんと約束して欲しい事があるんじゃ」

『約束？』

頭から温もりが消え、真剣な表情でおじいちゃんは言う。

「絶対に正体をバレないようにするんじゃ。
信用出来る奴以外は素顔を見せず、本名もバラしちゃいかん。
もちろんその超能力もじゃ。

お前さんは今、行方不明の状態になっとる。
ほとんどの奴が死んだと思っておるんじゃが、お前さんのことを血眼になって探しとる奴もおる。

ただそやつらにもステラちゃんに関する情報はほとんどない。
あるのは超能力者ということだけ。
だからこそ気をつけるんじゃぞ！分かったか？」

その異様な空気と怖いくらい真剣な顔に首を何度も縦に振った。

おじいちゃんが言っていることがもし本当なら、それはきっと私の家族が私のことを守ってくれたから、だから。

「その返事が聞けて良かったわい。
それじゃあ戻るとするかのう」

そしてまたぐりぐりと頭を撫でたおじいちゃんは家まで送ってくれた後海軍本部へと帰っていった。

その日の夕方、エースは一人で帰って来た。
てっきりルフィとかいう子も一緒かと思ってたからまさかと思って聞き耳を立てているとそのまさかで。

「エース、おめェ…
一人で帰って来たのか？」

「…………」

「あいつは？ルフィはどうした。
一緒じゃねェのか？」

「しるか」

不機嫌さをまるで隠さずに部屋を出ていくエースを追いかける。
その背中に声をかけようとした時、部屋から耳を塞ぎたくなるような嫌な言葉が聞こえてきたと思えば、エースは振り返ってドアの後ろに立った。

「放っとけ!! 死んだら死んだで仕方ねェ!!
だいたいこちとらエースの奴もとうに見放してんだ!!
どこで野垂れ死んで貰ってもガープにゃ事故だと報告すりゃいいと思ってんのに……
＂憎まれっ子世に憚る＂とはこの事だ！」

お酒で酔っ払っているのは見れば分かる。
でも、だからと言って何を言っても許されるわけじゃない。

「＂鬼の子＂だよ!!?万が一政府が嗅ぎ付けてみなよ。
あたしらどんな目にあうと思う!!?」

「まーまーお頭・・・」

耐えきれず、怒りに身を任せ部屋に乗り込もうとした私を止めたのはエースだった。

『なんで止めるの。
言われっぱなしで悔しくないの』

「庇われることがどれだけ惨めか、お前知らないだろ。
絶対余計なことすんなよ」

吐き捨てるようにそう言ったエースがその場を離れることはなかった。