恐がらなくてもいいんだ...【不機嫌なモノノケ庵】

亀薬-ｷﾔｸ- ページ35

しゅうう

(この暗さにも段々目が慣れてきたな)

ここが妖怪の棲む"隠世"の中

このどこかに...

「芦屋くん、芦屋くん」

「ん?」

「ﾓｼﾞｬﾓｼﾞｬやｷﾞｷﾞｷﾞさんいるといいね」

あ...南海さんも俺と同じこと考えてたんだ

「そうだね」

(ﾓｼﾞｬはこっちで一人ぼっちになってないかなあ
親分もあの後亀薬堂まで辿り着けただろうか...
でももし...ﾓｼﾞｬは小さいから他の妖怪に襲われて
喰われたりしたら.....親分も体ボロボロだったし
途中で力尽きてたりしたら.....うわああ)

「...ｯ」

あー...何か急にすっごい不安になってきた
俺こんなに心配性だっけ?

それに何か体がダルくなってきたような...

「う"っ」

(今度は気持ち悪くなってきた...
あれ?これもしかして...)

安倍さんから貰った紙を見ると

【一、隠世酔いをして具合が悪くなったらスグ言にう!】

("心得"に書いてあった「隠世酔い」!?)

「芦屋くん...?大丈夫...?」

「み、南海さんは平気なの...?」

「う、うん...!あ、お水飲む...?」

すると南海さんは鞄からお水を出してくれて

「はい、お水飲めば少しは
楽になるんじゃないかな...?
私飲んでないから大丈夫だからね」ﾆｺｯ

南海さん...ｯ!!

「あ、ありがと...!!」

ｺﾞｸ...

「.....ふぅ」

「楽になった...?」

「うん、少しは」

「よかった...!」

(南海さんのおかげで少しは良くなったけど
早々にヘバって足でまといになりたくい...
歩けないほどでもないし
.....まだ安倍さんには黙っとこ)

「おい、もうすぐ出口だ.....」

「はい.....」

「お前ｯ!!酔ってんだろ!!」

「酔ってないです...ｹﾞﾎｯ」

「何強がってんだその"心得"の紙に
「酔ったらスグ言え」って書いてあっただろ!!」

「酔ってない...」

「酔ってんだよ
隠世酔は重症だと十著不安定になる
だから酔ったらスグ言えって...」

「ﾁｯ酔ってねーって言ってんだろうが」

「あ、芦屋くん...!」

「...おっと"心得"一「ケンカはしない」でしたね...」

(完ｯ全に精神までやられてんじゃねぇか)

「ｯ...まぶし...｡うっわ

＿＿ここが隠世...!!」

「富士山みたいだ」

「眺めてないで早く来い」

「芦屋くん、行こ?」

「うん」

「もっと不気味な所だと思ってたけど
以外と明るいし現世に似てますね
さっきの暗いトンネルの中とは大違い
ってあれ...そういえば隠世酔いが治ってる」

「トンネルから出れば酔わねぇ
っつーか!やっぱ酔ってたんじゃねーか!」

「しまった!!」

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