ずっと好き

未遂 ページ48

次の日...部室で練習をしていると

校長先生と教頭先生が入って来た

「どうしたんですか？」

廉太郎が２人に問いかける

校長先生が深刻そうな顔をした

教頭先生が少し笑って答える

「鈴木先生が...訴えられたんですよ」

その言葉に全員が耳を疑った

『それは...何かの間違いじゃないんですか？』

「いえ？こちらの方が訴えたんですよ？」

隣をみると....

谷さんと話していた女の人が隣にいた

その隣は弁護士さんのようだった

しばらく全員で黙っていると...

ドアの開く音がした

そこには...鈴木先生がいた

『鈴木先生？どういう事ですか...？』

その言葉に鈴木先生は口を開く

「泉には関係ない事だ」

行きましょうか？そう言って全員出ていった

最初に口を開いたのは真琴

「有明先生に...何があったの？？」

「あいつは...人殺しだよ」

“人殺し”...その言葉に頭痛がした

「どういう事....？」

真琴のその言葉に廉太郎が口を開いた









数年前...まだ表参道高校合唱部が有名だった頃

全国大会で優勝を狙っていた合唱部にはある問題があった

部員の１人が音程をとれなかった事

大会当日....鈴木先生は指導者としてあるまじき指導をした

“クチパクで歌え...そしたら勝てるから”

その生徒は鈴木先生の言う通りクチパクで歌った

合唱部は見事優勝....

だけど数日後その部員は自ら命を絶とうとした

一命はとりとめ未遂で済んだけどその部員は二度と合唱部には来なかった

その時から合唱部の信用は落ちた









真琴がその話を聞いた瞬間....固まっていた

“未遂”その言葉にその先輩の覚悟が見えた

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