『呪術廻戦』‎ 短編短歌短足的スピード更新 (ページ6)

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落ち葉 ❛夏油傑❜ ページ6

古い本棚を整理していたら、昔の彼氏…傑に借りた国語辞典が出てきた。

表紙を開くと、2人で見つけた葡萄の葉っぱがひらりと落ちた。

Aの脳内に溢れ出す青い思い出。

この落ち葉は日曜日の昼下がり。あの時間、あの記憶の中で落ちていたものだ。

そう、あの日ーーーーー

日曜日の午後、傑と2人で公園に出かけていた。

ベンチでうたた寝をしているオジサンを見て、浮かんだ疑問。

｢ねぇ傑！うたた寝の“うたた”って何だろう？｣

なんて言いながら彼の裾を引けていた。
今思えば尊い時間だった。

そう聞いた私に彼は何だろうね？と返したんだ。

“うたた”の意味がどうしても知りたくなった私たちは、公園デートを中止し本屋さんに駆け込んだ。

日常の何でもない時間を楽しませてくれると笑ってくれた彼。

もう手が届かない。

話す事も。目を合わす事も出来ない。

とても遠く、離れてしまった。

消えかけた思い出をかろうじて記憶していた薄茶色の葉っぱ……。

そうっと拾い上げようとしたら、掌の上で静かに崩れた。

思い出に、さよならした気がした。