襲撃と邂逅 6 ページ18
その似顔絵を目にした途端、酒場の主であり宿屋の主でもある女性…サキは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「知ってるも何も…この町じゃ有名なトラブルメーカーさ。
…まったく。アンタたちみたいな正規ギルドの魔導士が来るって知ってりゃあ、アタシもあの子たちをもっと本気で止めたんだけどねぇ」
「え…?それってどういう…」
ルーシィがサキの言葉の意味を問おうとした瞬間、店の入り口からひとりの男性が転がり込んできた。
「た、大変だサキちゃん!サードストリートの方角から、盗賊団が大群で攻めてきやがった!!」
「なんだって!?町に被害はないのかい!?」
「Aちゃんたちが教えてくれたお陰で、今のところ被害はゼロだ!
でもあんな大勢が相手じゃ、あの子ら危ねぇんじゃねぇか!?」
「当たり前だろ!?一騎打ちならともかく、クロサンドラ盗賊団は200人を超える悪党の群勢だ、無茶にも程があるよ!」
青ざめた顔で男性にそう言い返したサキは、事態を把握しかねているルーシィの両肩をしっかりと掴み、早口で状況説明を行う。
「アンタたちが来る少し前、うちの従業員が奴らの頭領に喧嘩を売られて勝負しに行ったんだ。
腕の立つ子たちだけど、流石にそんな大勢相手じゃ無事で済むと思えない」
サキの両手に力が入る。ただならぬその様子から、ルーシィは目の前の女性が本気でその従業員を心配しているのだという事をハッキリ理解した。
「アンタたち、名うての魔導士なんだろ?
どうか、あの子たちを助けてやってくれないかい?」
助けを乞われたルーシィが返答するよりも早く、酒場の椅子に寝かされていたナツがその拳を椅子に打ちつけて起き上がる。
「上等じゃねーか。依頼もこなせるし、悪い奴らもぶっ飛ばせる。行くぞハッピー!」
「あいさー!」
先程までの不調はどこへやら。威勢のいい掛け声とともに、ナツはハッピーと共に燃料を与えられた機関車のごとく店の出入口から飛び出していった。
「ナツ!アンタ場所分かってんの!?」
呆れつつも彼の後を追いかけようと1歩踏み出したルーシィは、サキのほうを振り返ってぱちりと愛嬌のあるウインクをしてみせる。
「安心して待っててください。従業員さん、必ず助けて戻ってきますから」
「あぁ…頼んだよ。嬢ちゃんたち」
そう言ってルーシィたちの背中を見送るサキ。
サードストリートからは、既に戦闘音が響き始めていた。
運命の邂逅まで、あと少し。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
34人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年9月19日 1時