襲撃と邂逅 4 ページ16
数分後。
「…それで、他の盗賊たちは今どこに?」
「す、少し前にドーリスの町へ…」
「町を襲撃するために向かったの?」
「お、おう…フォルミスの姉御はそう言ってたぜ」
その辺にあった縄でぐるぐる巻きにされている男は、腫れ上がった頬に涙を流しながら渋々とそう答えた。
彼の背後の壁には、真っ二つに折られたサーベルが深々と突き刺さっている。
「そんな…アルジュナ、千里眼で盗賊団の様子を見ることはできる?」
尋問を終えたAは焦った様子で振り向き、アルジュナにそう問う。
するとアルジュナは「はい」と短い返事を残してコテージの屋根へと移動し、本調子に戻った千里眼スキルを発動させて森林を見渡した。
「…居ました。盗賊団が町に到着するまで、あと数十分、というところでしょうか」
「数十分…」
Aたちが町からコテージまで来るのにかかった時間は1時間ほど。
どれほど急いだところで、今から盗賊団を追いかけても間に合うはずがない。
…一般人であるAに合わせた速度ならば、の話だが。
「…いける?アルジュナ」
「えぇ。もちろん」
「鈴鹿ちゃん、走るよ」
「はいはーい」
指示を受けたアルジュナは即座にAを抱きかかえ、木々の合間を縫うようにして道無き道を駆け抜ける。
その後を全く同じ速さで追随する鈴鹿御前も、余裕綽々といった様子で息ひとつ切らさずに地を蹴っていた。
「しっかり着いてきていますか、鈴鹿」
「当たり前じゃん、JKの敏捷力ナメんなっての」
大胆なショートカットの結果、驚くほど短い所要時間で町へと戻ってきた一行は、盗賊団が迫り来る可能性のあるサードストリートの住人たちに事情を説明して避難を促す。
住人たちは協力して観光客を誘導し、比較的安全であるフルール通りの中央へと移動していった。
「ありがとう、避難も何とか間に合ったね」
「ドーリスの人たちには何の罪もないし、傷つけるワケにはいかないっしょ」
「そうですね。町中に侵入される前に、ここで追い返しましょう」
「うん、何としてでも食い止めよう。
鈴鹿ちゃんはここで私と待機。アルジュナは高台から援護を」
「おっけー!ひとり残らずぶっ飛ばしてやろうじゃん?」
「了解しました。マスター、お気をつけて」
そう言ってアルジュナが離れた直後、森の奥から現れた盗賊の大群に、Aと鈴鹿御前は戦闘態勢を取る。
真剣な面持ちのAの腰元で、琥珀のダガーが再びキラリと煌めいた。
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年9月19日 1時