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襲撃と邂逅 3 ページ15

ドーリス東部を覆う、広大な森林。
その中央に位置する木造のコテージ。
かつて名のある資産家が保有する休養所であったというその建物は、ある日を境に盗賊団に乗っ取られ、鬱蒼とした不気味なアジトに変貌していた。
あちこちの窓ガラスは割れたまま放置され、壁全体にツル植物のようなものが絡みついている。

「うっわ、いかにも『悪いヤツがいます』って感じ」

「見張りもいないみたいだし、どうやって接触しようかな…」

コテージ近くの大木に身を隠し、盗賊団の様子を窺うAと鈴鹿御前。
ひそひそと会話する彼女たちの背後に、周囲の偵察を終えたアルジュナが音もなく現れた。

「周辺に盗賊らしき人影はありませんでした。…これは、少し妙ですね」

「ていうか大規模な盗賊団なら、こんなに気配感じないのはおかしくない?建物の中から音もしないんだけど」

周辺に見張りもなく、建物の入口もさほど侵入者を警戒しているようには思えない。
それどころか、建物の中から物音のひとつも聞こえないのは確かに妙である。
Aはサーヴァント2人と顔を見合わせて頷いた後、意を決してコテージの玄関に近づき、勢いよく扉を開けた。

「お邪魔しまーす勝負しに来ましたー!…って、うっ、お酒臭っ…!」

ツンと鼻につくアルコールの臭いに顔を顰めながら、コテージのリビングまで足を踏み入れる。
所々に放置された飲みかけの酒瓶や食い散らされた料理は盗賊団がここを根城にしていることを証明していたが、頭領の女性はおろか盗賊さえ見当たらない。

Aたちが不審に思ってコテージの部屋をひとつずつ確認して回っていると、エントランスから2階へと伸びていた階段を誰かが駆け下りてくる音が聞こえた。
一行が階段に向かおうとリビングに戻ると、そこでは見るからに盗賊団の一員と思しき格好をした男が、血相を変えてキョロキョロと周囲を見渡している。
やがて男はAたちの姿に気づき、何も無い空間から鈍色のサーベルを取り出して身構えた。

「何の用だ、侵入者どもめ!クロサンドラ盗賊団のアジトに勝手に入り込んで、生きて帰れると思うなよ!」

「どうも、そっちの頭領に理不尽な勝負を持ちかけられた張本人です。
売られた喧嘩を買いに来ました」

Aが不機嫌な声音で堂々と答えると、その態度が気に入らなかったらしい男は、奇声を上げてサーベルをめちゃくちゃに振り回しながらAに襲いかかった。

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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年9月19日 1時

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