襲撃と邂逅 ２ ページ14
｢しかし困りましたね｣
手紙の内容を思い返してアルジュナが腕を組むと、それに反応した鈴鹿御前は｢何が？｣と彼のほうを向いた。
｢あの果たし状ですよ。記されていたのは『勝負しろ』という内容のみで、日時や場所は指定されていなかった｣
｢…そういえばそうじゃん。そんな肝心なことを書き忘れるくらい、頭に血が上ってる…的な？｣
呆れたような表情でストローを咥え、サキ特製のレモネードを啜る鈴鹿御前。
隣に座っていたAは真剣な面持ちで考え込み、おもむろに椅子から立ち上がった。
｢とにかく、町が襲撃されるのは絶対に防がないと｣
逆恨みも甚だしい果たし状ではあるが、応じなければ町の人々が被害を受ける。
ましてや相手は山賊の頭。平和的な話し合いで穏便に片付く相手ではない。
｢サキさん。確か山賊の拠点は東の森にあるんですよね？｣
｢え？あぁ。連中は東の森にある、コテージの廃墟を根城にしてるよ｣
｢彼女たちは常にそこにいるんですか？｣
｢連中は夜に活動してるからねぇ。昼間はみんな廃墟で寝てるんじゃないかい？｣
｢なるほど…｣
東の森にあるコテージの廃墟。
そこで昼夜逆転の生活を送っている山賊たち。
2つの有益な情報を得たAは、令呪の刻まれた右手を握って拳を作り、やる気に満ちた笑みを見せた。
そしてアルジュナと鈴鹿御前に目配せをし、高らかに作戦を宣言する。
｢町が襲撃される前に、山賊の拠点を叩きに行こう｣
｢ええ。町の人々に危害を加えさせるわけにはいきません｣
｢私も賛成ー、やられる前にやっちゃったほうがいいっしょ！｣
そう言って今すぐにでも山賊退治に出掛けてしまいそうな3人に、サキが｢ちょっと待ちな！｣と声をかけた。
｢アンタたち正気かい！？相手はそこそこ規模の大きい山賊集団なんだよ！？｣
｢へーきへーき！勝負って言ったって、悪党のボスとの一騎打ちでしょ？私たちにドーンと任せて！｣
｢夕刻までには戻りますので、ご安心を｣
既に出入り口の扉に手をかけていた鈴鹿御前が、サキの言葉にくるりと振り返って笑顔を見せる。
アルジュナもそれに続いて一礼し、外に出ていった。
｢大丈夫ですよ、サキさん｣
彼女が心配そうな表情を浮かべていることに気づいたAが、扉を開けながら言葉を発する。
｢私たち、絶対に負けませんから｣
後ろ手に閉められた扉の音が、静かになった酒場の中にやけに重たく響いた。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空思鳴 | 作成日時：2020年9月19日 1時
