カルデアからの通信 2 ページ12
「__というわけで、私たちがこっちに来てからもう5日も経ってるんだよ」
『つまりそちら側の時間の流れと、こちら側の時間の流れには大きな差があるってことだね』
通信機越しにダヴィンチの唸り声が聞こえる。
Aは彼女の推理が落ち着くまで、ベッドに座って大人しく待つことにした。
数分後、通信機から『これは推測に過ぎないのだけれど』と冷静な声が届く。
『そこが何らかの魔術的な力で形成された特異点であるならば、魔力や時間感覚の違いにもある程度の説明がつく』
「魔術的な力、ってもしかして」
『うん、おそらく聖杯だろうね』
やはり…とAが息を呑んだ。
聖杯。それは万能の願望器であり、人類史に多大な影響を及ぼす強力な魔力リソース。
手に入れた者の願いを善悪関係なく実現させてしまうその代物は、度々とんでもない特異点と化してAたちの前に立ち塞がる。
今回の件は亜種特異点の時のような、死闘極まる危険なものなのだろうか。
それとも、チェイテピラミッド姫路城のような、別の意味で危険なものだろうか。
『魔力の差と時空の差。特異点としての前例に照らし合わせれば、ルルハワでの時空ループ現象や、ラスベガスでの秘匿結界化と類似しているようにも思える』
「(おっと、何となくイベント的なナニカの予感がしてきたぞ…)」
もはやこういった突発的な特異点に巻き込まれることに慣れてしまっているAが、心のどこかで「なんだいつものアレか」と安堵の溜め息を吐いた。
『荒野に空いていたあの穴が、特異点へのゲートの役割を果たしていたんだろう。その場所はきっと、感知できていないだけで黎明期アメリカの上にある』
「ってことは、聖杯を回収すれば私たちはカルデアに帰ることができるんだね」
『そういうこと。残念ながら詳細な場所は不明だけど、特異点の原因たる聖杯はその世界に必ず存在する。
こちらからはナビゲートできない代わりに可能な限りの支援を行うよ。Aちゃんたちは聖杯探索に尽力してほしい』
「分かった。無理はしないでね、ダヴィンチちゃん」
『あぁ。Aちゃんたちも気をつけて』
その言葉を最後に通信機からの声は途絶え、明滅していた通信中を示すランプも消滅する。
Aは通信の内容とこれからの方針をサーヴァント2人に伝えるため、ピョコンと跳ねたままの寝癖のことも忘れて部屋を出た。
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年9月19日 1時