崩れ落ちた火蓋 12 ページ34
休日というのは非常に素晴らしいものであり、同時に平日があるからこその素晴らしさとも言うことができる。
しかし今の志藤に平日、休日は関係なくなっていた。
両親が亡くなり一時自暴自棄になっていた志藤は、連日学校を休みただただ寝ていることやネットを漁ることをしていた。
現在は立ち直れているが、それでも休んだ日数が多く、そして自身が望んで聖杯戦争に参加することを決めてから高校は自主退学していた。
それからの日は曜日の感覚が曖昧になり、昼夜の感覚は保ちながらも規律正しく堕落する矛盾を含んだ生活をしていた。
「マスター、一日中寝転がるのは好ましくありませんよ」
セイバーが基本はだらだらとしている志藤に難色を示し声をかける。
「だって、することなにもないですし…下手に動くのは地雷を踏むのと動議ですから」
「仰ることも一理ありますが今のマスターは善き生活ではないのでは?筋力の低下などもっての他でしょう」
「…あ、散歩とかなら気楽で良いかもしれません」
突如閃きの神が降りてきたのか急に起き上がった志藤が提案する。
携帯の画面には検索エンジンが映っており、打ち掛けの文字は"外 暇つぶし 2"とあり、そこから着想を得たのだろう。
「そうですね。マスター、この付近の地形を把握する為にもそれが良いでしょう」
「地の利を得とくにこしたことはありませんからね。人の集うところは避けるべし、ですし」
志藤は自身も頷きながら言う。
「店や駅前の広場なら人が集まるのでは。となると、サーヴァントがいる可能性もやや浮上しますね」
「マスターの用件で、って感じ?」
「はい。ではマスター、早々に支度をお願いします」
志藤が頷いてから財布、家の鍵、絆創膏、消毒液、折り畳み式傘など必要なものと不必要なものが入り混ざったショルダーバッグを手に取り、中身を確認する。
「よし、行きましょう」
それから手で粗雑に髪を整え、外出時の最低限のマナーに則った格好に着替え、バッグをかけて言った。
この間僅か四十秒である。
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年8月26日 22時