先見の参謀【文スト】 (ページ7)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:21,031 hit

参謀は知りたいページ7

中也side

突然された仮定の話に思わず眉が寄る

なんの意図があるのか

消える、とはどういう意味なのか

あの糞ポンツクが死ぬということだろうか

考えたがピンとくるものはない

A｢先走らないでくれ、仮定の話だ｣

落ち着いた声でそう言われるものの、Aがこんな話を振ることなんてなかった

今まで、ただの1度もだ

願望のようなものこそ聞いたことはある

だが、大抵そういうのは本心ではないのだ

ならば尚更質問の意味がわからない

中也｢それは彼奴が死ぬってことか？｣

耐えかねて訊ねると、そんな所想像がつかないと返された

それには激しく同意する

中也｢それじゃあどういう…｣

A｢言葉のままだよ。そうだな…こんな言葉を聞いたことがあるかい？｣

『太宰の敵の不幸は、敵が太宰であることだ』

Aが口にしたことは、ポートマフィアで云い習わされていることだ

不本意ながら、それほどまでに太宰の存在は組織にとって大きい

ポートマフィアになる為に生まれてきた男だと言う奴もいる

だが、それがどう関係するのだろうか

A｢太宰が消えれば、この言葉の意味が変わってくる。今は味方だ、だが敵になる｣

中也｢足抜けするってことか？｣

聞いておいて信じられなかった

あの太宰が天職ともいえるマフィアを抜けるなど…

Aは俺の質問にはっきりと答えるとはせず、「可能性の話だ」と濁した

だが、その可能性が実現するとなれば…

放っておくわけにはいかないだろう

中也「手前はどうする心算なンだ？」

A「…忘れてないかい？これは仮定の話なんだよ。私の意見など無粋というものさ」

頬杖をつき、静かにそう言ったA

話を振っておいて曖昧なことしか答えないAに、思わず眉間の皺が深くなったのは致し方ないだろう

A「所詮、私は太宰の劣化版に過ぎない。彼奴を越すことなどできないのさ。だから彼の相棒である君の意見を知りたくなった。…君ならどうする？｣

尚も俺に答えを求めるA

頑固なところは出会った頃から変わらない

そこに今更文句をいう心算はない

消える、ということが死ぬということでないのならば答えは1つ

中也「そンなの決まってるだろ？この手で縊り殺してやるよ」

俺の答えにAは口元を緩めた

そして目を閉じ、「実に君らしい」と一人呟いた