【瀬名泉】 過保護のセナくん 【完】

17.くつした ページ18

「……なに？」

『んーん、なんでも！』

「なにそれぇ」


特になんの用事があるわけでもなかった。来週から始まる定期テストの勉強、アイドルでもあるけれど、やっぱ学生だしねぇ。恥ずかしくないくらいの点数は取らなきゃ決まりが悪いよ


「ほら、手ぇ止まってるよ」

『ん……えいごはにがて……』

「そうだったっけぇ？」

『そうなの！！』


Aの手が止まっているのがどうしても気になって、どうにも自分の勉強が上手く進まない。普段ならお互い黙々自習してるはずなのにさ。


「……あれ、あんた靴下は？」

『あついからいや！』

「はぁ!?お風呂上がりは足が冷えやすいんだからねぇ!?」


タンスから引っ張り出してきたモコモコの靴下。試しに足を軽く触てみたら、もう既に冷たくなっていて。だから風呂上がりは気をつけろって言ったのに。


『お家で靴下って変な感じ……』

「慣れな」

『……はーい』


教科でも入れ替えて仕切り直しにしようか。……でも、俺の記憶違いかなぁ。Aは去年、朔間と英語で企画書のやり取りしてたはずなんだけど。

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