【瀬名泉】 過保護のセナくん 【完】

15.生徒手帳 ページ16

「珍しい。
今日は一人なのね」

「別にぃ？
Aとはいつも一緒なわけじゃないし」

「あらあら、別にAちゃんの事だとは言ってないけど？」

「こいっつ……」


面倒見のいいお姉ちゃん、なんてコイツのことを皆そう言うけれど、そんな善良な奴じゃない。心底憎たらしくてずる賢い、ほんと生意気だよねぇ。


「泉ちゃん、たまに生徒手帳眺めているけど……何見てるのかしら？」

「俺の顔、美しいんだからいくら見てても飽きないでしょぉ？」


緑色の手のひらサイズの生徒手帳。常時携帯が決められていて、俺もポケットに常に入れてある。証明写真が嫌いな人もいるみたいだけど、俺は好き。だって俺はいつだってかっこいいからねぇ。


「今日時間変更だから
かさくんたちにも伝えといてねぇ」

「任せてちょうだい」


あるようでほとんど機能していない校則が書かれたページ。最後のページに挟んでおいた、俺とAとのツーショット写真。もうだいぶ昔のもので色褪せてきちゃったけど、どうしても捨てられなかったんだよねぇ


「ほんと、昔から変わらない」



人あたりの良さそうな愛嬌ある笑顔は、今とぜんぜん変わらなくて。
昔はもっと手のかかる子だったのに、最近はすっかり大人になっちゃって。もう少しだけ、こどものままでいてかれてもいいのにね。

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