【瀬名泉】 過保護のセナくん 【完】

13.メガネ ページ14

『……大体はこんな感じかな』


【クゥイルフェスタ】の詳細が綴られた、10枚にも及ぶ事細かな企画書。王様はどうせ頭に入ってないだろうから、俺がよく読んでおかないとねぇ。


『衣装も今週中には出来ると思う』

「相変わらず仕事は早いよねぇ」


"赤い羽根募金"。俺たちが小学生の頃から、いやもっと前から今まで続くチャリティー活動。昔は羽欲しさに募金してたっけ。
いやとにかく!!外部のライブなわけだし、詳細まで読み込むのは当たり前だよねぇ。


『あ、いずくんめがねだ〜』

「あらほんと、珍しいわねェ」

「似合ってんだからいいでしょぉ？」


別に目が悪いわけじゃない。ただ集中したい時にかけるメガネをいつも持ち歩いていた、滅多に使うことはないけどねぇ。だって毎回かけてたら希少価値が下がるでしょ？


「お姉さま、どこに行かれるのですか？」

『あんずのところ！今人手不足みたいだから。
学校内にはいるからさ、何かあったら呼んでね』

「分かりました」


慌てて怪我しないか心配だけど、きっと大丈夫だと思う。普段あれだけマイペースなのに、信じられないくらい仕事はできるから。その辺は俺が保証してあげる。


「走ったらダメだからね」

『わかってるー！』

「……ったく、何がわかってるんだか」


早速走っていったAにため息をついて、改めて書類と向き直る。まぁAのことだし不備なんてないだろうけど、ついいつもの癖で。
メガネにもあまり慣れてないし、早めに片付けないとねぇ。

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