【瀬名泉】 過保護のセナくん 【完】

12.マグカップ ページ13

「明日は朝からレッスンだから早起きすること」

『ライブの詳細も伝えるね』


ウチに置いてあるAのマグカップ。ピンクに白の縁どりで、もう何年も前から背景の一部として馴染んでいる。ちなみにAの家にある俺のマグカップは青色。


「ほら、これ飲んだら寝なよ」

『まだ眠くない』

「どうせ明日起きられないんだからぁ!!」


冷蔵庫から取り出した牛乳にはちみつを入れて、レンジで一分温めればハニーホットミルクの出来上がり。甘ったるいそれは、Aのお風呂上がりの大定番。




「寝るなら部屋戻りな」

『……ん、おやすみぃ』

「はいはい、おやすみ」


つい十分前まで"今日こそはゲームする!"と意気込んでいたのに、まぶたを半分閉じて、もう今にも寝てしまいそう。ちゃんと歯磨きもさせたし、いつもの空き部屋ですぐ寝ちゃったかな。


「ったく、また電気付けっぱなしだし」

付けっぱなしの電気を常夜灯に切り替える。こういうとこほんと適当だよねぇ。

「……おやすみなさい」


髪を少しすくって、とかすように上から下へ。サラサラすぎてムカつくからくしゃくしゃにしとくねぇ。
……今の俺にこれ以上をする勇気はないけど、いつか絶対、これ以上のことをしてやるからねぇ。

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