story20☆ ページ22
ヴィトル「ったく···ほんとにあいつどこ行きやがったんだ!」
あれから私たちは村の人にヴァルターの行方を聞いて回った。道ですれ違う人、店の中にいる人、それから家一軒一軒まで訪ねた。
しかし、答えはすべて同じ。
村人「ついこの間まではいたのにねぇ···。おかしいわぁ···」
ヴァルターに関する確かな情報は何一つ得られなかった。
アリシア「もう、だめなのかな···」
気がつくと、無意識のうちに涙がこぼれ落ちていた。
不安に染まった心をうつすように、地面が点々と黒くなる。
オスカーに加えてヴァルターまで···。
私を助けてくれた人が次々に消えていく。
なぜ?私のせいなの?私のせいで二人は消えてしまったの···?
そんな、それならヴィトルだって、いつか···!嫌だ、嫌だ!
ヴィトル「おい、そんな落ち込むなよ。まだわかんねぇだろ」
優しい声で気遣ってくれる彼の声も、今は耳に入らなかった。
アリシア「もし、お兄さまが消えたのが私のせいなら、あなたも巻き込んでしまうかもしれない。だから、やっぱり私は、ひとりで探します。もう、これ以上誰にも消えてほしくないんです···」
それだけ言って、立ち去ろうとした。
しかし、歩き出した途端、腕を捕まれた。
ヴィトル「俺は消えねぇよ。それに、あいつが消えたのはきっとお前のせいじゃない。一回冷静に考えてみろ。なんでお前を助けただけであいつが消えなきゃやんねぇんだ。お前は指名手配でもされてるような犯罪者なのか?俺にはそうは見えねぇけどな」
はははっと笑う彼の顔を見て、つられて私も吹き出してしまった。
口は悪いけど、とっても優しい人だ。まるで、アラムみたいに···。
ヴィトル「一日中歩き回って、疲れたんだろ。ちょっと遅くなっちまったけど、お昼にするか」
そう言って、彼は知り合いのやっているレストランを紹介してくれた。ヴァルターの家とはうってかわって、小さな古民家のようなところだった。出てくる料理も家庭的で温かく、とにかくおいしかった。
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時:2018年2月15日 15時