使者の調べ (ページ18)

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story16☆ ページ18

ヴィトル「あいっかわらず遠いんだよ···やっと着いたぞ。あれがあいつの家だ」

彼の指差す方を見ると、そこには白く大きな塔が建っていた。

アリシア「あれが、家、ですか···」

ヴィトル「あぁ、前はただの小さな病院だったんだがな···。

話すと長くなる。そろそろ疲れてきたころだし、そこの切り株にでも座って、休憩がてら聞いてくれないか」

切り株はちょうど2人で座れるくらいの大きさで、私が先に腰かけると、ヴィトルは背中合わせに後ろに座った。

ヴィトル「もう5年くらい経つかな。

はじめ、俺とあいつはさっきの診療所を一緒にやってたんだ。

今となっちゃあ人なんか全然住んでないけど、当時は結構賑わってる村でねぇ。かなり忙しかったよ。

あいつが治療をして、俺は事務的なことをしてた。診察料は安かったし、まぁ儲かりはしなかったけど、怪我が治って笑顔で帰ってく患者さんたちを見てると嬉しくてね。結構気に入ってたんだ、この仕事。

だけど、いつだったかな。

ある患者さんから聞いたんだ。

山の向こうの隣村で、変な病気が流行っているらしい、ってね。

俺はただの噂だと思ったし、山ひとつ越えてまで病気が広がってくることは無いだろうと思ってた。

そのときはきっとあいつも同じこと思ってたんだろうね、しばらくはそのまま診療所を続けてたよ。