story15★ ページ17
アリシア「あ、あの……」
私は必死に言葉を探した。だけど、言葉はひとつも見つからなかった。
「何だ、患者か?悪いが今日は休みだぞ」
相手からの返答は私の予想に反するものだった。私の思考は一瞬、停止した。
患者?今日は休み?いったいどういう事……?
アリシア「あの、私は…患者では………」
「は?患者じゃねぇのか?じゃあ何でここにいんだよ。怪我してるみたいだったから患者かと思った」
男は私の傷を指差した。
これは、もうだいぶ完治している傷なんだけどな……巻いている包帯のせいかな?
アリシア「すみません、ここは……」
「ここは俺の兄がやってる診療所、俺の兄は医術士なんだよ」
じゃあ、この人のお兄さんが私を助けてくれた医術士?よかった、またひとつ希望が見えた。
アリシア「あの、私はアリシアと申します。先日…あなたのお兄様に助けていただきました」
男の人はあー、と呟くと…しばらく考えるそぶりを見せて再びあー、っと呟いた。
「兄から聞いた気がすんな、眠りの樹海で少女が倒れてたって」
アリシア「あ、それ……多分私です」
やっぱり、助けてくれたのはこの人のお兄さんだったんだ。
そして、暖かな風が私たちの間を吹き抜けた。静かに私たちの髪を揺らす。
アリシア「あの、会えますか?あなたのお兄様に」
「あー、ま、少し歩くが村に行けばいる。来るか?」
お礼も言いたい、あの時……言えなかったから。それで、ひとつでもオスカーにつながる手がかりがあればなんて、私は密かに思った。
アリシア「はい、お願いします」
ヴィトル「じゃ、ついてこい。あー、アリシアって言ったな?俺はヴィトルだ」
アリシア「ヴィトル……」
私はその名を呟く。
そして、私はヴィトルと共に少し離れた村……ヴィトルの兄である医術士の元へと向かったのだった……。
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作者名:セレーナ・ラフィーネ&しろーん x他1人 | 作成日時:2018年2月15日 15時