家に帰ろうと思ったら拉致されました 続【オリジナル】

77話 ページ35

顔を歪ませながら私は剣を振るう


…来ないでと願いながら


ゾンビ「ｶﾞｧｧｧｨｧｧｧｧ」ｽﾞｼｬｯ


ｶﾞｧｧ ﾋﾞｼｬｯ


(ミア「…もし敵がきたら頭を狙いなさい


頭さえ落ちればなんとでもなるわ」)


嫌でも覚えてる


(貴『頭って…(笑)


そんな簡単に落ちないですよ』)


この１週間


(ミア「…まだ、まだよ！！


そんなんじゃ、自分だけじゃない


誰も守れやしないわ！！」)


こんなものと思ってた


(貴『…っ！』)


私には無関係だと


(ミア「…お疲れ様」)


いつもいつも体が痛くって


(貴『(なんでこんなこと…)』)


嫌だった


やめたかった


(ミア「…頑張って、


としか言えなくてごめんね」)


私は悲しい顔をして欲しいわけじゃなくて


(貴『いえ…』)


…何だかこっちも苦しくって


(リセト「…うん！うまい！


これならいつでも作れるよ！


…ここで働いてほしいくらいだなぁ」)


いつも優しさに甘えてた



(貴『…またまたー。


お世辞はいいですよー！』)


冗談でも何故か嬉しくて


(リセト「…割と本気だよ？」)


何故か期待されるのが嬉しかった


(ジロ「…まだかえってこないのぉ。」)

不思議な世界


(貴『そうだねぇ…』)


動物と会話なんて現実ではありえなかった


(貴『(早く帰ってこないかなぁ)』)


家族でもない人がいないのが寂しいなんて


ゾンビ「ｩｸﾞｫｵ」


ｽﾞｼｬｯ


貴『…』


頭を落とす


ロンガ「…」


ジロ「主…」


倒れても倒れても起き上がるゾンビたち


…いつの間にか手の震えは消えていた


リル「…っ！！」


ダイゴがリルを切る


…かすり傷っぽいけど


リル「…生意気…！！！」


ｷｨｨｨｲﾝ


鳴り響く金属音


ゾンビ「ｩｸﾞｫｵ」


貴『…』


ゾンビ「ｶﾞｧｧｧｨｧｧｧｧ」


…



…


…


…うるさい


貴『…ｻﾞｼｬｯ』


振り下ろす


何度でも何度でも何度でも


ゾンビ「…ｶﾞｧｧ…ｧ」


ｽﾞｼｬｯ


飛び散って赤に染まる


赤、に、


ジロ「…主！！


も、もういい！！


あとは二人で…！！」


貴『…ｻﾞｼｬｯ』


やらなきゃ


ジロ「…主！」


白い何かが近くに寄ってくる


その何かの表情はまだ人らしく


生き物らしい


貴『…やらなきゃ』


私は腕を振り上げた


ロンガ「…！」


白い何かはもう居ない


ジロ「…！！ 何故じゃ…！」


顔を歪め 悲しそうに見る


ロンガ「…今、あいつは何も見ていない」

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