少年少女エクスピエート【劣等少女３章】

4. 友達 ページ4

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　仕事を再開したAにカリーナが駆け寄る。ヴィオルドとのことを気にしているようでAにもう一度謝った。

「さっきはごめんなさい。あの人、気を悪くしませんでしたか？」
「大丈夫だよ。それに記念祭のあいだは忙しいから来られないと思う。気にしないで」

　カリーナがこれ以上気に病んでしまわないように、Aは優しく言って笑う。彼女の様子から安心したカリーナはお礼を述べた。

「ありがとうございます。優しいんですね」

　Aはその言葉に軽い謙遜で返したのち、カリーナにタメ語で話す提案をする。彼女の気を紛れさせようという気遣いだが、Aがカリーナにもっと近づきたいという想いもあった。
　快諾したカリーナと頷き合い、Aはネストレにも同じことを聞く。

「そうだ、ネストレもタメ口にしようよ」
「えっ、僕もですか？」

　自分へ話が来るとは思っていなかったネストレは榛色の目をぱちくりさせて聞き返した。大人っぽい雰囲気はとっさのことに影を潜め、あどけなさの残る表情である。カリーナはAの言葉にに賛成の意を唱えた。

「いいね、そうしよ！」
「なら、そうさせてもらおうかな。改めてよろしく、A、カリーナ」


　こうして敬語を使わなくなった三人が打ち解けるのは早かった。地方から王都へ来た二人が住み込みで働いているという理由もあるだろう。一日中ずっと顔を合わせているので話す機会は多い。休憩時間や寝る前はカリーナやネストレの故郷の話で盛り上がったり、王都で流れてくる世間話に花を咲かせたりしていた。同性であるカリーナとは特に仲良くなり、即位記念祭の準備で忙しいフィルやレネ達に変わってよき話し相手となった。

「二人とも、王都に出稼ぎに来たのは初めてなんだっけ」

　閉店後。寝る準備が整った三人はAの部屋に集まってランプを囲むように座っている。

「そうなの。ウチは王都初めてだから新鮮」
「僕も初めてなんだ。住み込みで働くのが不安だったけれど、一緒に働く人が優しい人でよかったよ」

　カリーナとネストレがそれぞれ王都に来て感じたことを述べた。二人とも王都での生活は充実しているようで目が輝いている。Aはネストレが安堵したと聞いて嬉しくなった。調子に乗りたくなった彼女は得意げに言って聞かせる。

「そうかそうか。わからないことがあったら何でも私に聞くのよ？」
「ありがとう」

　そんな彼女の言動にネストレは可笑しそうにしながらお礼を言った。

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