3. 激励 ページ3
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いつも通り制服を着て剣を携えたヴィオルドが
しかしカリーナはヴィオルドを見た瞬間、青ざめた顔をし背を向けてキッチンの奥に隠れてしまった。Aは驚いて追いかける。
「どうしたの?」
「ごめんなさい、ウチ、武器を持った男性が苦手なんです……」
震えながら目を伏せて申し訳なさそうにするカリーナ。その様子を見たユリウスは事情があるのだと察し責めることなく笑顔を見せて提案した。
「なら、カリーナにはキッチンで働いてもらおうかな。人手が足りなくなったら出てきてもらうけど、それまでは奥で働いてていいよ」
「ありがとうございます」
一週間程度の短期バイトだ。長期的に働くのなら克服も視野に入れるが、今はそれよりも記念祭が始まる前に基本的な仕事を覚えてもらいたい。ユリウスはそう判断し、カリーナには主にキッチンを任せることにした。料理は慣れているようなのでそれで問題なさそうだ。
お茶を入れていたネストレには続けるように言い渡し、ユリウスとアイコンタクトをとってAは店の扉に手をかけた。
「ヴィオ、外で話そう」
「ああ、そうだな」
店の外、軒下でヴィオルドはAにしばらく親衛隊と仕事をすることを伝えた。Aは少し寂く感じながらも、仕事で忙しくなるのは彼女も同じなのでそちらの方が大きい。お互い記念祭が終わったらまたゆっくり会おう、という結論に至った。
「せいぜい親衛隊の足引っ張らないよう頑張るのよ」
「Aこそ新人の足を引っ張らないようにな」
「失礼ねっ」
楽しむように言い返すヴィオルドに上目遣いで文句を言うA。相変わらず叩き合う憎まれ口だが、二人を取り巻く空気も、言葉に込める想いもかつてとは違っていた。
「行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
ヴィオルドはうっすらと微笑み、視線を合わせて別れを告げた。つられてAも微笑と共に見送る。ヴィオルドの背中が見えなくなる前にAは店に戻った。
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花宮 夢@低浮上(プロフ) - La merさん» お返事が遅くなってごめんなさい。読んで通知が消えた後、お恥ずかしながら忘れてしまいました。寒いので体調にはお気をつけくださいね。忙しい中、閲覧・コメントありがとうございます。 (2018年1月14日 1時) (レス) id: d55711392b (このIDを非表示/違反報告)
La mer(プロフ) - 夢さん、お久し振りです(*´ω`*) 久々に読ませて頂きました。今後の展開が予想できなくて気になっています……謎の言葉やそれを言った人物の正体も気になるし…… 張り詰めた毎日の良い息抜きになります、ありがとうございます(^^) 良いお年をお迎えください◎ (2017年12月23日 21時) (レス) id: 7b9f054eff (このIDを非表示/違反報告)
花宮 夢@帰国したけど低浮上(プロフ) - MIYA@冬氷雪さん» 遅くなってしまい申し訳ありません。画像はふわりさんの辞典にURLのやり方が載っていました。雑誌の件ですが、今更でよろしければこちらとしては大歓迎です。もちろんタイミングもあるので、できなくても大丈夫ですよ。 (2017年12月23日 18時) (レス) id: 75dac65544 (このIDを非表示/違反報告)
MIYA@冬氷雪 - 花宮 夢@帰国したけど低浮上さん» 今度、レディデイという雑誌で花宮夢さんの特集を作らせてください。お返事待ってます。 (2017年11月25日 13時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
MIYA@冬氷雪 - 花宮 夢@帰国したけど低浮上さん» お久しぶりに帰ってきてくれたんですね?本当にありがとうございます。(意味不!)新しく、CSSを研究中です。良ければ、どんな風に画像のCSSを投稿できるのか教えて欲しいです。どんなにゆっくりでも、いいので完結まで頑張ってください。 (2017年11月25日 13時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜庭 美羽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/SakurabaMiu/
作成日時:2017年6月18日 17時