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『出かけるのか?』
『はい……行ってきます』
まだ沖田と出かけることを躊躇っているAの様子に気付いた高杉は、何か声をかけようと口を開くが、「早くしろ」という沖田の声にかき消されてしまう。
思わずムッとした高杉が沖田の方を見るも、高杉に対して対抗意識を幼い時から持っていた沖田にとっては願ったりの表情であるため、沖田はニヤッと妖しげに笑い返した。
『行くぞ』
Aは沖田に腕を引かれて街の中へ飛び出す。人目を気にするように忙しなく視線が動くも、沖田はそんな彼女を「こっちだ」と誘いながら平然として歩いていた。
『総悟く、あ……沖田くん』
慌てて呼び方を変えたAに沖田は眉間に皺を寄せたが、呼び方などどうでも良いと言いたげに一つ息を吐く。だがそれが彼女には溜め息に思ってしまい、もう何も喋るまいと口を固く閉ざそうとする。
しかし、「なに?」と俯きかけていた顔を覗き込まれ、その瞳に映る不甲斐ない顔をした自分と目が合った気がしてすぐさま彼女は顔を背けた。
『……付き合わせちゃって、ごめんね』
『別に』
『あと、約束破ってごめん』
『まァそれは謝ったから許す』
Aはピタリと足を止め、沖田もそれにつられて足を止める。彼女は目を忙しなく動かしながらも沖田を見上げ、大きく息を吸い込んだ。
『これからも、友達でいてくれる?』
Aからしてみたら、ずっと自分と仲良くしてくれるのかという頼みごとである。だが彼女は厚かましかったか、と今更になって発言を後悔した。
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ぴよこ - こんにちは。ハルさんが、占いツクールを引退してしまうとは寂しいです。でも、私はハルさんを応援します。 最後に、ハルさんが、大好きです! こんなに綺麗で、感動する作品をかく方を、私は他に知りません。 一番大きです! 今までありがとうございました。 (2018年10月1日 17時) (レス) id: 2dbadd9a51 (このIDを非表示/違反報告)
氷月(プロフ) - 少し涙腺崩壊しましたwハルさんの作品の雰囲気とても好きです!これからも頑張って〜! (2018年8月7日 16時) (レス) id: f4133f3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
えまこ(プロフ) - こんにちは。ハルさんの作品全部大好きでした。ひとつ質問なのですが、こちらの作品の続編はもう書かれませんか?新しいことに挑戦しているハルさんを応援しています、頑張ってください。 (2018年6月17日 16時) (レス) id: e4c4f608b1 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんにちは☆最初から読み感動させてもらいました(>_<)これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年6月15日 13時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - 美鶴さん» わぁわぁわぁ!! 美鶴さん!! ありがとうございます( ´ ∀`) 嬉しいです!! もう来週くらいまで迫ってきてしまいましたが、どうぞお時間が空いた時にでも見ていただけるとありがたいです!! ちゃんと生きてると思いますので、よろしくお願いします笑 (2018年6月11日 21時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2018年3月17日 19時