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『――社長の山岸と申します。高杉様、この度は我が社と契約を結んだ時の利益についてお話しさせていただきたく存じます』
ゴマをするように話す高杉の前に座る男は、「まず」と言いながら手元の書類を使って説明を始めようとする。
だが高杉は背もたれに寄りかかり、「なァ」と男の話を遮って声をかけた。
『実は子供をひとり預かっていてなァ。そいつは銀魂小学校に通っている四年生なんだが……』
『それはそれは! 私の息子も銀魂小学校の四年生です!』
「奇遇ですねえ」と前のめりになる男だが、高杉はそれに小さく嗤い、続きを話し始める。
『この間、同じクラスのクソガキに「お前は捨て子」だと言われたらしい』
『なんて酷いことを言う子供なんでしょう!
許せませんな、全く』
『……そう思うか?』
「もちろんです」と全肯定してくる男。高杉は堪え切れなくなってクククと喉を震わせ、一気に冷めた目つきで男を射抜く。
その視線によって男は不穏な空気を感じ取り、背中には冷や汗が伝った。
『俺も許せねェんで、そのクソガキのことを色々と調べたんだ。名前は山岸裕太。父親の名前は山岸裕次郎で……』
手元にある書類を読み上げた高杉は「ん?」と態とらしく声を止める。そして既に震え始めている男を蛇に似た絡みつくような視線で見つめた。
『そういやァお前の名前、なんだったっけか』
『えっと……その……』
男はたちまち居たたまれなくなり、「失礼します」と勢い良く立ち去っていく。高杉は置いてある少し冷めたコーヒーを飲み干し、読み上げていた書類を千切ってはゴミ箱に捨てた。
その時入ってきた万斉は、高杉の行動に少し嬉しそうに笑っている。
『子供同士の揉め事には関わらないんじゃなかったでござるか』
『……そんなこと言った覚えがねェな』
そう言いながら胸ポケットから取り出した紙を、高杉は大事そうに開く。それは先日Aが書いた二分の一成人式の作文であり、彼は何度も飽きずに繰り返し読んでいた。
『なんでだろうなァ。
俺はアイツがいれば、なんでもできる気がするんだ』
いつもいつも、ありがとう。
full of gratItude
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□13y/o「chestnut coLor brat」→←6
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ぴよこ - こんにちは。ハルさんが、占いツクールを引退してしまうとは寂しいです。でも、私はハルさんを応援します。 最後に、ハルさんが、大好きです! こんなに綺麗で、感動する作品をかく方を、私は他に知りません。 一番大きです! 今までありがとうございました。 (2018年10月1日 17時) (レス) id: 2dbadd9a51 (このIDを非表示/違反報告)
氷月(プロフ) - 少し涙腺崩壊しましたwハルさんの作品の雰囲気とても好きです!これからも頑張って〜! (2018年8月7日 16時) (レス) id: f4133f3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
えまこ(プロフ) - こんにちは。ハルさんの作品全部大好きでした。ひとつ質問なのですが、こちらの作品の続編はもう書かれませんか?新しいことに挑戦しているハルさんを応援しています、頑張ってください。 (2018年6月17日 16時) (レス) id: e4c4f608b1 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんにちは☆最初から読み感動させてもらいました(>_<)これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年6月15日 13時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - 美鶴さん» わぁわぁわぁ!! 美鶴さん!! ありがとうございます( ´ ∀`) 嬉しいです!! もう来週くらいまで迫ってきてしまいましたが、どうぞお時間が空いた時にでも見ていただけるとありがたいです!! ちゃんと生きてると思いますので、よろしくお願いします笑 (2018年6月11日 21時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2018年3月17日 19時