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高杉とAが出て行った後、沖田はしばらく扉を睨みつけてからジュースを一気に飲み干す。そして苛立ったまま椅子にどかっと座り、顔をこれでもかというくらい顰めた。
『そう怒るなよ。
あの子には、高杉が特別なんだろ?』
沖田の嫉妬心に気付いていた土方は、「これも飲め」とAが飲まなかったコップを渡す。沖田はぶんどってからそれも一気に飲み、雑に口元を手の甲で拭った。
高杉がAの特別だということなんて、彼は知っている。ヒシヒシと身に染みるくらい感じていたのだ。
だからこそ、彼は悔しい。
『……俺も、特別になれやすか』
「何に」とは言わないし土方も聞かない。沖田は零すように吐き出し、足元の小石を蹴飛ばすみたく足を上下にぶらつかせた。
『なれるんじゃねーの?
あの子はお前と似てるし、むしろお前があの子の一番の理解者になれるかもな』
同じ境遇なら、そこにある苦しみも悲しみも分かち合えるだろう。誰にも分からない彼女の心の奥底を、沖田なら分かって上げられると土方は思ったのだ。
悲壮に打ちひしがれた時、手を差し伸べてくれる人を刷り込みみたく絶対視してしまうように、彼女のその相手が高杉だと、遠回しに土方は沖田に伝える。
しかし、地獄に落ちる蜘蛛の糸という例えは間違っている気がして、土方の目には高杉が本当にAを傅いているように見えたのだった。
彼女の特別になるのはこれまた難しそうだと肩をすくめるも、「特別になりたい」と自ら口にした沖田に胸を動かされ、応援する気まんまんの自分を思わず笑ってしまう。
貴方じゃなきゃ。
i wanted to Meet u
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ぴよこ - こんにちは。ハルさんが、占いツクールを引退してしまうとは寂しいです。でも、私はハルさんを応援します。 最後に、ハルさんが、大好きです! こんなに綺麗で、感動する作品をかく方を、私は他に知りません。 一番大きです! 今までありがとうございました。 (2018年10月1日 17時) (レス) id: 2dbadd9a51 (このIDを非表示/違反報告)
氷月(プロフ) - 少し涙腺崩壊しましたwハルさんの作品の雰囲気とても好きです!これからも頑張って〜! (2018年8月7日 16時) (レス) id: f4133f3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
えまこ(プロフ) - こんにちは。ハルさんの作品全部大好きでした。ひとつ質問なのですが、こちらの作品の続編はもう書かれませんか?新しいことに挑戦しているハルさんを応援しています、頑張ってください。 (2018年6月17日 16時) (レス) id: e4c4f608b1 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんにちは☆最初から読み感動させてもらいました(>_<)これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年6月15日 13時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - 美鶴さん» わぁわぁわぁ!! 美鶴さん!! ありがとうございます( ´ ∀`) 嬉しいです!! もう来週くらいまで迫ってきてしまいましたが、どうぞお時間が空いた時にでも見ていただけるとありがたいです!! ちゃんと生きてると思いますので、よろしくお願いします笑 (2018年6月11日 21時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2018年3月17日 19時