【銀魂】家族、あいしまして。

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『助けてくれて、ありがとう』


いつもの笑顔とは少し遠いが、それでも必死に笑おうとしている。そんなAの表情を見た沖田は、少々照れ臭くなって「別に」と頬を掻いた。

土方は安心したように鼻で息を吐き、沖田の頭を乱暴に撫で回す。だが彼女の前で子供扱いされたことに沖田は腹を立て、土方の手を振り払った。



高杉は最後に土方へ礼を伝えてからAの手を引いて交番を後にする。交番の近くに停められていた車からはまた子が飛び出し、Aの大丈夫そうな姿に安心して涙ぐんだ。

万斉や武市にも囲まれた彼女は少々戸惑ってしまうも、皆自分の身を案じしてくれていたことが分かると安心させるように笑う。


Aは後部座席でまた子の腕に抱きかかえられながら、泣き疲れたのかウトウトし始める。その時不意に顔を上げると高杉が自分の方を見ていることに気付いてそのまま見つめ合うと、彼女はいつも通りを装っている高杉の顔が、ほんの少し歪んでいるように見えた。


眉間のシワは寄せられ、目は細められ、拳には力が込められている。自分を見るとホッとするように眉尻を下げた表情により、本当に心配してくれていたことをAは改めて知った。


一緒に外食をする約束は守れそうになくて申し訳なくなるも、きっと高杉は「気にすんな」と笑うだろうと思った彼女は、そのまま眠気に身を委ねて目を閉じる。


目が覚めたら、恐怖に震える身体も苛まれる記憶も、全部高杉が消してくれるのだ。「大丈夫」と頭を撫でて抱きしめてくれる、安心する腕の中で。




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