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それから、頭もぼーっとしてきて隼が何か話しかけてきたけれどその内容すらも覚えていない。
新幹線に乗り大阪に着いた時、激しい吐き気に襲われて駅のホームにしゃがみ込んだ。口から出てきたのは血の塊。
玲於「A!」
涼太「Aちゃん!」
近くにいた玲於と涼太くんに支えられた、そこまでは覚えている。だけど、起きたら真っ白な天井が広がっていて、きっと救急車で運ばれたんだろうなって、少ししてからそう思った。
自分の腕には点滴の管が繋がれていて、部屋には誰の姿も見当たらなかった。
部屋の置時計は午後13時を示している。一体何時間寝ていたのだろうか。
握手会は16時からなのにこのままだと間に合わなくなってしまう。
どうしよう。そう焦るけど病室に私の荷物らしいものは見当たらない。
体調管理もできないのか私は。このままじゃ、本当に辞めさせられしまうかもしれない。
それから時計の分針が5分間動き続けたあとに、静まり返った病室のドアが微かに音を立てて開いた。
部屋のカーテンから顔を覗かせたのは担当医らしき人とHIROさんだった。
『ひろさん、私・・・』
HIRO「起きなくていいから、寝てな。」
『はい・・・』
担当医から聞かされたのは私の症状について、それから今後のことについてだった。
軽い胃潰瘍で、原因はストレス。
今日は一日入院して、回復したら東京の病院へと通ってください。とのことだった。
『じゃあ握手会は、』
HIRO「今日はもう無理だ。残念だけど、A抜きでやってもらう」
『そんな、』
私に会いに来てくれる人達がいたかもしれないのに。
応援してくれた人達を裏切ったような気持ちと自分の不甲斐なさで涙が止まらなかった。
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ゆうき(プロフ) - すごく面白いです。これからどうなるのか気になります。 (2020年9月13日 19時) (レス) id: 56d6dad4f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めいこ | 作成日時:2018年8月9日 22時