すきで、好きで。

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Aside




「婚約者なんて言ってまずかったかな？」



「⋯大丈夫。」



途端テンションが下がった私を覗き込む玉森さん。



「行こっか。」



こんな私に何も聞かずそっと手を繋いできた玉森さんの手の温もりに安心する。



「⋯Aさんの幼なじみとご飯行きたかったな。」



「ごめんね？誘ってくれたのに宏光が変な態度取って⋯」



なんだか怒ってるみたいな宏光にもめげず誘ってくれたのに、オレらこれから予定あるんで、なんて言いながらさくらを引っ張ってさっさと帰っちゃったんだよね。




「オレ、嫌われたのかなぁ？」



「宏光は私の事兄妹みたいに思ってる所あるから。軽いシスコンなんだよ。」



今までだって彼氏ができた時もいい顔された事ないし。


でも今回ばかりは玉森さんのこと本気で結婚相手として考えてるから私もどんな顔して宏光を見ていいかわかんなかった。



「⋯シスコンね。」



ふぅーんって、玉森さん。



「幼なじみが宏光、ならオレも裕太って呼んでよ？」



「⋯なんだか恥ずかしいんだけど。」



「⋯じゃあ、玉森さん、って言われながらキスする方がなんだか燃えるからいっか。」



っっ！



「玉森さんっ！」



なんて事言うのよっ？！



狼狽えてる私にあはは！って笑ってる。



もうっ！ほんとにこの人はっ⋯



「からかうの楽しい？」



「うん。Aさん反応いいからいじめがいある。」



「私の方が歳上なのにそういう事言うんだ？」



ほんと、玉森さんの手のひらでガランガラン回されてる感半端なくてなんだか悔しい。



「Aさんてさ？すんごいお姉さんって感じなのに実はちょっと抜けてたりさ？⋯男にも慣れてなさそうだし。歳上って気がしないわ。」



男にも慣れてないって⋯



「はっきり言わないでよ⋯。」



「そこがいいのっ、オレは。」



ほんとに嬉しそうに腰を引き寄せられるからびっくりして体が硬直する。



「⋯ほら。こういう所、」



言いながら緊張してる私に不意打ちでチュッてキスしてきた。

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