すきで、好きで。

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Aside





あれから二人とは距離を置こうって。



今までだって週末くらいしか会ってない時もあったけどそれは私達が全員フリーだった時の話。




相手⋯見つけなきゃ。



でもどうやって？



３２歳のろくに恋愛経験のない私が
突然結婚を前提に付き合ってくれる人を探すなんて途方に暮れる話だ。




合コン⋯とかもう誰も相手にしてくれない気がする。



友達の紹介⋯？
結婚してる子多いし既婚者とかになったら勘弁して欲しいし⋯



そんな事を考えながら出勤中電車に揺られてたらふと目に入った吊り広告。




それを食い入るように見つめてから
なんだかため息が出た。







これしかないか。









・









「初めまして。」



「初めまして。」




お互い初対面でメールでやり取りした場所で待ち合わせ。
顔はデータで見てたから何となく⋯ん？なんか違うけど、でもこの人に間違いはない。




結婚相談所に会員登録した。



少々値段は張ったけど
宏光以外の男の人に目を向けたい私は必死だった。
でも・・・




初対面のモジモジしてるこの男性を前に
こんな出会いからほんとに結婚にまで辿り着けるのか？って疑問しかない。



データマッチングというシステムのこの結婚相談所は
予め自分が結婚相手に望むことをアンケート方式で登録してる。
それに出来るだけ沿った人が携帯でデータとして送られてきてその人が気に入ればこちらのデータを送る。




⋯いくらデータ上で話が合いそうだったとしても
実際に会ってみれば全く会話が弾まなかったり
逆に個性的過ぎてついていけなかったり⋯



今日会った人とも進展はないな。
ため息を付きながら家に帰るとちょうど宏光が家から出てくるところに出くわした。



「お、久しぶりじゃん。⋯ってか随分めかしこんでんだな⋯」



「⋯そう？私だってデートの一つや二つね。」



間違いではないでしょ？
私の言葉に目を見開いてる。



「⋯彼氏出来たの？」


「うーん、彼氏欲しいの。」


「珍しいじゃん。おまえがそんな事言うの。なんの心境の変化？」





・・・宏光の気持ち知ったからよって
心で呟いて


疲れてるからじゃあね、ってそのまま家に入った。



まだちゃんと話すの辛いな。


初対面の人に愛想笑いした後
宏光に会うとそれだけで泣きそうになった。

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