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弟が1人 ページ4

少しの頭痛と、気持ちの良い疲労感で叶は目を覚ました。

 上半身を起こす。

 一瞬、自分の見慣れた部屋ではない為、どこだ、と思うが、白が基調のダブルベッドと、自分の隣で自分と同じで、生まれたままの姿で寝ている義理の姉を見て、ここは彼女の部屋なのだと理解する。

 遮光カーテンから光が漏れている。

 朝ではこのように強い日差しは刺さない為、今が昼時なのだと推測する。

 現在午後2時。社会人は昼を済ませ、午後分の仕事に取り掛かっているだろう時間帯だ。

 そして隣で眠っているAも又、社会人なのだが、叶は、彼女が今日は休みなのだと、前々から知っていた。



 昨夜の彼女との行為に、着信だなんて邪魔が入らないようにマナーモードにしていたスマホが、ヴー、ヴー、と振動する。

 朝ーーではないがーーから誰だ、と画面を見ると、“葛葉”と表示されている。

 耳に持っていくまでが面倒なので、そのままスピーカーをオンにする。

「隣でAさんが寝てるから、静かにしてね」

「一緒に寝てんのかよ!!」

「うるっせぇよ!!! 起きちゃうだろーが!!」


「かなえ……?」

 案の定、騒音でAは身動きをする。

 起きた彼女に、叶はおきちゃった? とスマホを適当に近くに置き、彼女の頬を優しく撫で、そのまま彼女の体に覆い被さり唇を重ねる。

 もちろん電話のスピーカーはオンのままなので、葛葉は、Aの口の端から漏れ出る吐息、叶が出すリップ音、シーツの衣擦れの音を、いやがおうにも聞くことになる。

 おはよう。……え? 腰が痛い? ごめんね、Aさんが可愛くって……などという会話がくぐもって聞こえるのも又、リアルで、葛葉は思わず本題を大声で叫んでしまった。

「お前ら!! 姉弟同士で盛ってんじゃねぇ!!」



「葛葉、嫌い」

「お前が悪いだろうがよ」

 葛葉が叫んだ数分後、叶の隣には誰もいなく、そして彼の頬には真っ赤な花が大きく咲いていた。

 叶とキスをしていることが葛葉に電話越しに流れていると知ったAが、叶に平手打ちを喰らわしたのだ。

 何が悪いのさ、と叶は不貞腐れた声を出す。

「好きな人と愛し合ってただけじゃん」

「それが問題なんだよお前!」

 昔からなぁ、特に人間はそういうことをやっちゃいけないってなってんだよ……と葛葉が大声で説明し始めるのを、叶は冷静に訂正する。

「でもそれは、血が繋がってたら、でしょ」

 僕とAさん、血は繋がってないし。

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作者名:ドリーム⭐︎トン | 作成日時:2022年8月1日 11時

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