会いたかったよ 【桃】 ページ21
your side
「お疲れ様でした…」
今日も怒涛の一日が終わった。
夢を持って上京して、念願のアパレル業界に入ったけれど
理想と現実は違っていた。
アシスタントとは名ばかりの雑用業務をこなすこと
早数年。
時には深夜まで及んで、私の気力も体力ももう限界だった。
「あれ？」
ふと気がつくと、見慣れない景色。
間違えて違う駅で降りた？ ───重症だ。
丁度いいや。
今日は早く上がったし、寄り道して帰ろう。
そう思って、そのまま知らないこの街を
探索することにした。
暫く歩いていると、目の前に明るい建物が見えてきた。
大型のショッピングモールみたい。
そこの一角に、ペットショップの看板がかかっているのが
見えて、私は吸い寄せられるようにそこへ入って行った。
「わぁ、可愛い…」
並べられたケージの中で愛らしく動く仔犬や仔猫に
思わず漏れる言葉。
見ているだけで癒される。
「ん？ なんだろ、あれ…」
ふと見ると、一匹の仔犬の背中に、ピンク色の
毛玉のようなものがくっついていることに気づいた。
近寄ってよく見ると、
必死にしがみついているようだった。
まるで小人をモチーフにした
キモかわな某キャラクターのような風貌と
全身に生えたピンク色のもふもふな毛。
不思議と気味悪さはなくて、寧ろ可愛い。
「うふっ、可愛い」
そう言葉を発した瞬間、こちらを見たピンクのもふもふ。
そして目が合った瞬間────消えた。
「！？！？」
やっぱり私、疲れてる？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みぃ。 | 作成日時：2022年10月4日 20時
