【妖怪ウォッチ2】消え行く正しさを直す旅。【part4】 (ページ25)

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第145話　暗雲立ち込めるページ25

──しかし、土蜘蛛はそんなAの声に対して小さく笑い。
達者にも、“正義感”を持つ彼女に向けてこう言ったのだ。

「お主が、目の前で起こる悲劇を黙って見て居られる者か?」

「…………!」

流石に言葉詰まってしまった彼女の姿を認めれば、土蜘蛛は
大ガマ達に続いて桜町へ赴かんと、紫の靄の中に姿を消す。

彼に何も言い返す事が出来ず、更には立ち去られてしまったのに
大きく溜息をついたAは、諦めたようにして力無く首を横に振ると

悠長にしている暇は無いと、ケータと顔を見合わせて言葉を投げかけた。

「……ケータ。もし君も桜町へ行くのなら、気をつけてくれ」

「う、うん。俺は大丈夫だよ」

戸惑いながら、何とか頷いたケータにAも小さく頷き。

続いてオロチと目を合わせては、何の合図も無しに
どちらからともなく、この場から姿を消す。

……一刻も早く、桜町に現れた怪魔達を止める為に。

～･～･～

土蜘蛛から指示を受けて、やむを得ずに共に桜町へやってきたAとオロチ。
彼らが訪れたのは、かげむら医院の入り口付近だった。

その入り口を入ったすぐ左手側にある小さな庭に、一体の怪魔を見つけたのだ。

妖怪と怪魔という違いはあれ、そこら中にはびこる怪魔とは比にならず
彼らから感じ取れる力は著しく大きく、二人にもすぐに“それだ”とわかった。

「──あの怪魔……一体、何を考えている……?」

恐らくは大ガマやキュウビ、土蜘蛛も他の怪魔を見つけて居る筈だが

二人が見つけたのは、頭部が長く伸び放題な髪や髭に包まれた
──あれは、老人と言っていいのだろうか──怪魔だ。

影に隠れながら呟くオロチの傍らで、Aは密かに
あの怪魔の頭に、二本の角が生えている意味について謎に思っている。

「フフフ、怪魔達を効率良く人間と妖怪にとりつかせるための
“ウバ雲”は、順調に成長中……流石はこの難怪の自信作じゃ」

「…………あの妙な雲は奴が作ったのか」

ふと、いつしか黒々としていた空を見上げながら眉を寄せるA。
──しかも、怪魔達を効率良くとりつかせるための物だと言ったか。

引き続き、元祖や本家軍から飛び出して来た妖怪達へ
次々に怪魔をとりつかせていく相手の様子を窺う。

「フフフ……人間と妖怪を実験台にして研究を続けた甲斐があったわい」

怪しく呟いている──自らを“難怪”という怪魔の目の前には、
彼らの身長より二、三倍も大きい機械が設置されていた。