【妖怪ウォッチ】望みも, 願いこそあれ。 (ページ9)

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･Story 8 ページ9

もうどうにでもなれ。……彼女は言われた通りに
その場から動かないままオロチの姿を見つめる。

「──妖怪達よ、今すぐこの場から去れ。
でなければ……痛い目を見ることになるぞ」

……返答はなかった。もしかするとあったのかもしれないが、
少なくとも彼女の耳には聞こえなかった。

それから間もなく──、一年前に見たオロチの雷撃が飛んだ。

～･～･～

その後この家中を見回ったらしく、住みついている妖怪は
全て打ち払ったとオロチに告げられた。

妹は部屋から出て来て、様子のおかしかった両親も
我に返ったかのようにきょとんとしていたものの、

すぐに今までの出来事を忘れているかのように私生活へと戻って行った。

「……一体、どうなっているんだ……?」

自分の部屋で、彼女はオロチに問いかける。

家族が元に戻った姿を見て、救われたような心地で居るのは
確かだが、それでも不可解だった。

しかしオロチは彼女の問いには答えず、代わりにこう返す。

「明日には、全て元通りになっている筈だ」

「えっ?」

「……行けばわかる。今日は早く寝た方が良い」

腕を組みながらそれだけ言ったオロチは、
困惑している彼女を他所にまたこの場から姿を消した。

「…………本当に妖怪なんだ」

突然消えたり、出現したりする。雷も何の機械もなしに操る。
──それで妖怪だと言い張られると、納得せざるを得ない。

だとしたら、明日……オロチが言った通り、本当に。

「(元に……戻っている?)」

自分の友達も、クラスメイトも、先生達も──全て?

～･～･～

翌日の朝、彼女はいつもより朝早くに起きて家を出る。
家族には不思議がられたが、適当な嘘をついて上手く誤魔化せた。

自然と歩も早くなって、
寄り道もせずに真っ直ぐに学校への通学路を歩く。

──元々、彼女はあまり寄り道などをする性質ではなかったが。

そうして昨日、オロチと二度出会った角を目の前にして
何となくそちらを見たが、思いがけず。

「あ……」

「……随分早起きなんだな」

同じ場所で、早朝にオロチと顔を合わせた。
今回はブロック壁の上に乗らず、そこに背を預けていたようだ。

「いや……昨日あんな事を言われたら、学校の様子が気になって」

「…………」

いつもはもう少し遅い──
否、全国の中学生と同じくらいの時間に起きているが

もう少し早く行ったって、学校の正門は開けてくれてあるだろう。