夢よ、どうか永遠に【イナズマイレブン】 (ページ5)

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プレッシャーページ5

そんな喧騒を一度ぱたりと閉じるように、響木は、また張りのある声で、全員に聞こえるように呼びかけた。

「ああそうだ、代表候補のことは話したな。だが、選手とは別に、ここに招致した人物がいる」

ぐるり、と全員を見渡し、響木は深く頷いた。その途中、怯えるように逸らされた少女の瞳が、きらりと光を浴びて煌めいた。

「わかっているだろう、おまえのことだ」

「…………………」

心臓が痛い。視線が痛い。足が竦む。
嫌な予感「だけ」は、よく当たるからなぁ。心の中でぼやきながら、少女は重い足取りで、招かれた響木の横に向かった。

( まるで、処刑台に上がる気分だ )

前も後ろも、人、人、人。前に進めば人は減るが、後ろに視線が増える。背中に針を突き立てられている心地だった。
自分の正体を知る者なんて、この場には数人しかいないのはわかっているけれども。少なくとも、この場にいる人たちが自分に敵意を向けたり、猜疑を向けたりすることは無いとわかっているけれども。
それでも、大人数の、純粋で澄んだ目を一斉に浴びるのは、居心地が悪かった。好奇の目は、逃げを許さずに身体を場に縫い付ける。
少女は元々、人見知りの気があって、人の前に立つのが苦手だった。少年たちをかき分けて前に歩む度に、内気で臆病な本性が丸裸にされているようで、とても恐ろしかった。
下を向きたい気持ちを抑えて、微かに震える膝を奮い立たせて、あくまでも平静を装って、真っ直ぐに響木の隣へ向かった。

「響木監督、この子は？っていうか、きみ中学生？」
「……っ」

ようやく響木の前まで来ると、待ってましたと言わんばかりに好奇心を隠さず、きらきらとした瞳で、ずいと寄る円堂。慣れない距離まで急に近寄られたせいで、少女は驚いて身を引いた。
無邪気で、まさに少年らしい少年だった。あまりにも、眩しすぎる存在だった。自分が今日まで歩んできた経緯を遡り、再び自覚すれば、尚更のこと。情けなくも、申し訳なくもなった。

「円堂、あまり詰め寄ってやるな」

困惑する少女を見かねて、苦笑しながら、響木は少女の手を引いた。次に両肩に手を置き、ぐるんと回転させて、少年たちに向き合わせる。少し勢いが強かったため、遠心力で少女の身体はぐらついた。
振り向いた先には、目、目、目。

「…………………！！」

…ぐらついた身体と共に、視界もぐらついた錯覚を起こしそうだった。