一番上の姉【ヒプマイ】

家族　１８ ページ27

疲れて諦めかけた時、リーマンから屋上にいると言う情報が入って俺たちは急いでその場に向かった。



「左馬刻さん…！」


「左馬刻…」


『姉さん…ッ』



屋上に着くと、安堵の表情を浮かべるリーマンとそこから少し遠くにいる姉の姿があった。


俺の名を悲しそうに呼ぶ姉に顔が歪む。


良かった、目が覚めて。良かった、生きてて。良かった、良かった、本当に…。


気持ちが押し寄せてくるのに対してなんと声を掛けたら良いのか分からなかった。


産まれてこのかた、まともに言葉を交わしたことのない姉になんと言えば良いのか、思考を巡らせても納得いく答えが出てこない。



「左馬刻、合歓、観音坂さん、ごめんなさい。私のような者に貴重な時間を割いてもらって」


「ちがっ、お姉ちゃんは悪くないよ！」


「ううん、全部私が悪いの。お母さんにならないのにお母さん面してごめん。不快な思いを何度もさせて」


「謝るべきなのは私たちだよ！お姉ちゃんは、なにも悪くない…。私が悪いの！ごめんなさい…！」


「謝らないで。合歓はなにも悪くない。私がお母さんの代わりにお父さんを殺していたら良かったんだよ」


「そんな…！」


「だけど、もう遅いよね…。私が頼りないから、お母さんがいなくなって二人にも嫌な思いさせちゃって、ごめんね、もう終わりだから」



合歓がどう反論しようと、姉は意見を変えようとしない。


変に頑固なのは、誰に似たのか。


けど、今だけは妥協するわけにはいかない。


姉を亡くしたくない、母さんと同じ道を辿ってほしくない。


なにも考えなくて良い、整理できなくて良い、ただ自分の気持ちをそのまま言葉にすればいい。

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