2つの職業 (ページ21)

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dangerous ページ21

チヤホヤされてたからこそのメンタルの弱さ

あの真っ直ぐに向けられた嫌悪の言葉は私の心を十分すぎるほど痛めつけた

そんなことを考えながら廊下を歩いていた

視界がグラッと揺れて、私の体は地面に叩きつけられた

え

なに

痛い身体をゆっくりと持ち上げて振り向くと、先程のメイクさんがくすくすと笑っていた

すらっとした足が私が歩いてた道に出ていた

あ、引っかかっちゃったのか

『すみません、足大丈夫ですか？お怪我ないですか？』

これは事故の可能性を信じて謝る

ピクっと動いたメイクさんの顔

｢はぁい、大丈夫です！Aさんは鈍臭いですね！｣
『はは！お怪我ないなら良かったです！』

心の底から湧き出る黒い感情を出さないように、なるべく笑顔でその場から去った

彼女達の舌打ちも聞こえていたけれど

楽屋でコケた時に出来たアザをどうするものかと考えてたら、扉が開いた

田中｢遊びに来ましたよー！！……ってどうしたんすかその傷｣

『ノックして？着替えてたらどうすんねん』

田｢それはすんません、で？どうしたんすか。｣

『なんでもー？』

田｢何でもはあるでしょ｣

田中の眉間に寄った皺をデコピンする

『さっきコケちゃっただけやで、心配かけてごめん』
田｢ほんまですか｣
『ほんまほんま』

ふーんと言うてじゃあ！これから仕事なんで！と去っていく

『何しに来てんあいつ』

田中が開けた扉の隙間から見えた先程の彼女達の姿

あぁ、終わった

｢何あれ……きも……｣

アザがズキッと傷んだ気がした

その日を境に、毎日来る長文の悪口DMや楽屋に置いてある殺人予告のような手紙

別に犯人がわかってるので怖くはなかった

流石に3日連続はめんどくさい、いつ来るか分からない田中を初めとしたSixTONESに知られるのが怖かった

『あの〜、』
｢はい？｣

嫌な目付きが私に向けられる

『その、そろそろDMとか手紙とか辞めてもらってもいいですかね？』
｢は、なんの事。うざ、勝手に犯人扱いされてるんですけど〜笑｣

『毎日道徳心のある人間からは出ないような言葉の数々を発してるのにそれに気がついてないんですね〜』
｢なんなのお前まじで、きもしね｣

自分より小さい女性に胸ぐらを掴まれることなど、今しかないだろう

これ以上話してても私の心がどんどん蝕んでいかれるだけ

どうしたものか、と考えていたらコツコツという足音が