新たに色づく物語 2【小説版】 (ページ13)

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いつもとは違う…【BJ、ニック】ページ13

狭いホールの中を器用に避けあいながら、踊っている連中を睨みつけていたニック。
そんな彼の前にひょっこりと現れたBJ。

「何、不機嫌そうにしちゃってるわけ？」
「ああBJか、驚かせんな。」

ふうっと明らかにホッとしたようなため息をついたニック、だが彼女の背後に群がる男どもを見つけた瞬間、その形相は鬼の表情にすり替わる。

「(あいつら、ぜってえBJ狙ってやがる。)」

いまにも駆け出しそうなニックの肩をがしりと掴んだBJ。
真紅と漆黒という混じり気のない色をその華奢な体に見事に身にまとい、ウェストの位置できっちりと引き締められたその様は、恋人としての色眼鏡を外しても3割り増しで綺麗だ。

そんな彼女を恋人の彼から見たら、どんな風に映るか。

「何するんだよ、俺は、」
「いくらニックでもパーティ中にパートナーのそばを離れるなんて信じられない。」

大きな声で言ったわけではないのに、比較的よく通る声は彼女の持ち味の一つだ。
周りにいた連中が振り返ったがBJは気にせず、くいっと、目の前のカップルを顎でさした。

「あ、なんだよ…」

振り返った瞬間ぶわりと目の前でスカートを翻した淑女が眼前に映る。

「うあっ！」

Bjを庇うように咄嗟に避けるとその正体はなんと、あのアルフとヨンリだった。

「あれ～ご～めん、当たりそうになった～？」
「ヨンリ、てめえこのやり取り何度やる気だ、ああ？」

こんな時にでもぶっ飛んだ思考を放棄しないのかでたらめに踊りまくるヨンリ。
それに対していい加減にしろと鬼の形相をしつつも、曲が終わるまで我慢する気なのか、器用に彼女をリードするアルフ。

破天荒な二人のカップルを黙って見送ったニックに、真顔のままのBJ。
しばしの沈黙の後、恐る恐る腕の中で庇っていた彼女を見下ろすと、不機嫌そうな瞳とかち合った。

「あーこれはその…」
「ねえ、ニック、踊るの踊らないの？」

飾らずずばりと突っ込んだBJに見惚れるように、こくんと息を呑んだニックは、赤い耳を隠すようにああと答えた。
それでいいのと、言わんばかり頷いた彼女につられるように破顔するニック。

そんな二人のやりとりを背後から見守っていたヨハネスは、信じられないもので見つけたような形相だった。

「(なんなのだ…あんな風に誘わなければならないのか…)」

到底我輩にはできない、そう俯きかけた時だ。
きゃっきゃっと嬉しそうな女子たちの声が彼の耳にも偶然届いた。