新たに色づく物語 2【小説版】 (ページ1)

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監督生【ウェンディー】ページ1

私、ウェンディーは今怒っている。それも、目の前にいる同仕様もない男に。
「ちょっと、マイケル！約束の時間はとっくに過ぎてるわ。早く見回りに行くわよ。」

1時間経っても待ち合わせ場所に来なかったハッフルパフのマイケル=ブラウンに声をかければ面倒臭そうにこちらを向いた。

「今忙しいから、後でね。ほら、帰って。」
中庭でただただボーッと、人形のように動かなかったマイケル。
ウェンディーの存在に気がつくと、コバエを払うかの様にシッシッ、と手を振った。

しかし、そんな事ウェンディーには関係ない。
荒業で彼の両腕を持ち、引っ張って立たせる。そして、流れる様に後ろに周り力いっぱい押す。
かなりの身長差はあるが、流石に全力で押せばマイケルも前に進み出す。
「もう知らないんだから！ハッフルパフの監督生でしょ、ちゃんとしなさい。後輩の手本にならなくてどーするって言うの。」

子供を叱るようにウェンディーが監督生とは何たるかをクドクドと言っているが、マイケルには関係ない。
「(あの研究の結果の結論から今やっている研究の前提に取り入れて……でも、そうすると前回の研究とは根本の違いが生じる。もう一度実験をしてみないといけない。もしかしたら、気温などの外部にも影響を受けるのかも……、となると_____)」

ウェンディーの話を右から左へ流しながら考えいれば、ウェンディーは不審に思った。
「マイケル、貴方私の話を聞いてる？」
「うんうん、聞いてるー。」
明らかに視線がこちらに向いていないのに対し、殆どの人が彼の言う事が嘘だとわかる。

けれどウェンディーはその『殆どの人』に含まれない。

「そう、ならいいのよ。それで、監督生って言うのは昔____」
「うん、分かってるー。」

嘘を鵜込みにする。それがウェンディーだ。どれほど分かりやすい、下手くそな嘘だとしても彼女は騙される。

「何あれぇー、おかしなの。」
「ウェンディー先輩と……、ハッフルパフの監督生の人ですよね？」
その姿を見ていたグリフィンドールのヨンリとノヴァはあからさまに話しの噛み合っていない彼女達を見て不審に思った。

「ウェンディー、その人話を聞いてないよ絶対。」
そのまま触れないのが身のためだと周りは知っているため、敢えて触れなかったのに。

ヨンリはそんな事気にしず、ウェンディーに進言してしまった。

「な、何ですって！……騙したわね、マイケル！いい加減にしなさい。」
廊下にウェンディーの声が響いた。