▽15. ページ15
Your side
.
フロントに行くと相変わらずスタイリッシュな侑李がいて。ほかの女子社員から注目されてるけど、本人は全く気にしてないみたい。
侑李「あ、A〜〜！」
「ちょ、っ！！」
会社なのに大きい声で呼ぶから、周りからの目は痛い。
「……どうしたの、」
侑李「会いたくなっちゃって」
「会社まで来なくても、……って、仕事は？」
侑李「午後から有給とった」
「これだけのために？」
侑李「いいじゃんAの事好きだし」
なんでこんなこと素直に言えるんだろう。
私ももう少し素直になれたら、干物女じゃないのかなあ、
侑李「おーい？」
「は、え？」
侑李「だから今日デートしよって言ってんの」
「デート、？」
気づいたら侑李の顔が目の前で、思わず後退りする。いくら幼馴染でも近すぎだし。
「いや、いいけど……」
侑李「ふふ、決まり〜！じゃあ、5時に迎えにくるから！」
そう言い侑李がくるっと後ろを向いた瞬間聞こえた声。聞きたくなかった、私が1番恐れていた事。
『は、男？伊野尾先輩と山田くん誑かしといて彼氏いんのかよ』
『性格悪そう(笑)大して仕事も出来ないのに男には媚び売って最低』
絶対、私のことだ。きっと侑李のこと、彼氏だと勘違いしててよくある嫉妬ってわかってるけど
「……っ、」
侑李の幼馴染だから恨まれることはよくあって慣れてたはずなのに、目の奥がツンとして。
何も言い返せない。そう思われてもしょうがないって、胸の中に自分の気持ちを仕舞い込む。
「侑李、行かないの…？」
侑李「あのさあ、さっきからうぜえんだけど、」
「へっ？」
俯いてた顔を上げると、侑李はさっきの女子社員を見てて怖い顔してる。
侑李「Aの何知ってんの？毎日みんなが嫌がる仕事押し付けられても文句言わずにやってるし。それで倒れたこともあるんだよ？それなのに仕事できない奴みたいな言い方して、ふざけんなよ。Aは男で遊ぶようなこと絶対しねーから」
もう20年以上の付き合いだけど、侑李がこんなに口悪いの初めてで戸惑う。
それにこんな可愛らしい顔からとんでもない言葉が出来て女子社員の顔は大変なことになってる。
「……侑李、もういいから」
侑李「気済まないんだけど、」
「大丈夫、私は大丈夫だよ。ありがとう」
なんで、私は侑李を好きになれないんだろう。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真桜 x他1人 | 作成日時：2019年3月8日 0時
