運命の糸は知っている[上杉和典]Season２

９４紡ぎ目 ページ49

立「はぁ...今日で合宿も終わりかぁ」


貴『合宿と言っても、ほとんど旅行みたいなものだったけれどね』



パラソルの下でアイスを食べながら、ぼーっと楽しそうに遊んでいる男子たちを見る。

中学生になっても、心は小学生とかと変わらないのかしら。



立「やっぱりまた来たいな。今度は違うところ...あ、キャンプとか！」


貴『...虫...』


立「でも、ログハウスに泊まるのとか楽しそう」



まぁ、確かに。



貴『...美恋も連れて行きたいわね...』


立「いいんじゃないな！」


貴(ｸｽｯ『食べ終わった事だし、私たちも行きましょうか』


立「うんっ！」



・



若「っあー！！遊んだー！」


七「本当にあっという間だな」



みんな、自分の荷物を全て持ってリビングに集合する。

外はもう夕焼け色に染まっていて、綺麗な夕日が差し込んでいた。



黒「最後にもう一枚、写真撮ろうか」



そういえば、スマホで個人的に撮ってはいたけど、集合写真は撮ってない。

最後に忘れ物がないか確認し、外に出て、夕日の前に並ぶ。



貴『これ、逆行にならない？』


上「ま、なったらなったで、それも思い出って事で」


黒「じゃ、いくぞ」



スイッチを押した黒木が駆け足で隣に並ぶ。



カシャッ！



撮れた写真を見ると、表情は確認できるもののやっぱり逆行で。

私たちはまた、一斉に笑い出した。



若「よし、駅行こうぜ」



若武の言葉を合図に、みんな歩きはじめる。

私も和典のあとについていき、途中で後ろを振り返った。



夕焼けの時間は短いもので、もう夜が広がろうとしている。

その３分程で見えなくなってしまうような光景を私はじっと見つめる。



上「A、行くぞ」


貴『えぇ』



私が背を向けた空には、白く輝く一番星が煌めいていた。

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