７６［N side］ ページ35
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「はい？今なんて？」
『や、無理、です』
「…うん、俺の聞き間違いかな？もっかい言うよ？
俺と、付き合ってください」
『すいません、無理です』
「…え、なんで俺振られてんの」
俺、さっきからね、5回くらい言ってるの、付き合ってって。
でもね無理って言われるの。え？なんで？聞き間違いかなって思って聞いても毎回無理ですっていってくるよこの子！え？さっきすっげぇ甘い空気になったよね？キスとかすっげーしたよね？え？幻？全部俺の妄想？
「んなわけあるか！」
『…はい？』
「あ、いや、うん、なんでもない…って、いやいや、なんでもある！なんで？え？なんで俺さっきから振られてんの？俺のこと好きなんだよね？」
『はい、和也さんのこと、好きですよ』
「うん、俺も好き。じゃ、付き合うよね」
『だから、それは無理ですってば』
「だからなんで！」
『だって…そんな…マネとタレントが付き合ってるだなんて…ダメですよ…』
Aは泣きそうな顔で上目遣いしながら俺の表情を伺う顔をした。
そんな表情すんなよ…、バカ。
ちょっと、ビックリした。
嘘。結構ショック、だった。
『…わかってます、私の言ってることめちゃくちゃなこと。
でも、でも、私、和也さんも好きですけど…
この仕事も好きですし、誇りも、あるんです』
「それは、うん、知ってる」
Aはとっても、真面目だから。
たぶん、罪悪感、を持ってる。
『だって、イヤです。私が、二宮さんのファンだったら、好きな人が、マネージャーと付き合ってるだなんて。絶対イヤだなって思います…』
「ん、二宮さんに呼び方戻ってるんだけど」
『ごめん、なさい…』
「泣かれると困っちゃうんだけど…」
『ん、…』
好きだから、わかる。
Aの考えてることが、わかる。
でも、やっと、Aのことを俺だけのものに出来るのに。
やっと、心から好きだと思える人とお互いに想い合えていると実感できたのに。
また俺は、自分の立場のせいで、
大好きな人を泣かせて失うなんてさせたくない。
せっかくそばにいるのに、手放すなんて。
もう、過去の記憶にずっと後悔したくない。
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作成日時：2017年5月29日 15時
