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控え室のソファに寝転がった二宮さんは、大きなあくびを一つした。
連日ハードスケジュールだった二宮さんも、明後日には久しぶりに丸1日のオフがある。私は溜まってる事務作業でもしようかと思ってたけど、笹沢さんのご厚意で、私も休みになっていた。
『これ終わったら、またゆっくり寝れますから、頑張りましょうね』
「ん〜…、俺結構頑張ったと思うんだよね、自分でも。うん、てか、Aさんよりは頑張った」
『…えーっと、』
「撮影始まる前にさ、一緒に頑張ろうね〜って言ったのになぁ、裏切られたわぁ〜」
『裏切ったとかじゃなくて、二宮さんが来なくていいって言ったんじゃないですか…』
「来なくていいってそんな冷たい言い方してないでしょ…ん、あれ、したかも？」
クスクスと笑う二宮さんはちょっと楽しそうだ。
たぶん今日で撮影が終わる開放感があるのかもしれない。
二宮さんは急にソファから立ち上がると、私の両手をとって、覗き込むように顔を近づけてきた。
気付けば部屋の中には、笹沢さんはいなくなっていた。
「だってさ、あの後、3日後くらいにはキスシーンだってあったし、この間はちょっとしたベッドシーンもあったんだよ。Aさん、また機嫌悪くなっちゃうでしょ」
『え？』
「俺と南が絡むたびにあんな不機嫌になられて、泣きそうな顔されちゃったら俺のほうが困っちゃうよ」
『そんな顔してるつもりなかったです…』
「ん〜、まぁあの日は俺の言い方もちょっとね、きつかったかもしれないけど。なんか虫の居所が悪かったのよ、俺にも機嫌の良い日と悪い日があるからね。あ、でも謝んないけどね」
『…あの日は、私の方こそ、その…、考え方を間違えていたといいますか、失礼な言い方をしてしまったので…』
「じゃあお詫びにさ、俺のお願い一つ聞いてよ。オシゴト頑張ったから、ゴホービちょうだい」
『ご褒美、ですか？』
「うん」
『なんでしょう…』
「明後日、Aさんの1日を俺にちょーだい？」
『明後日って…、二宮さんオフですよね？』
「うん、オフ。あなたもオフでしょ。知ってるよ、ってかささやんに頼んでオフにしてもらった」
『えっ、あれ二宮さんが』
「…あ、ちょっとまって、予定があるとか言わないよね」
『予定はないですけど…』
「ふふん、じゃあ決まり」
嬉しそうに私の手をブンブンと振る二宮さん。
遊園地に行く約束をした子供みたいに無邪気に笑う二宮さんがちょっとだけ可愛いと思った。
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作成日時：2017年5月29日 15時
