Case.4 ページ42
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冬休み前、最後の図書室当番の日、久しぶりに図書室に二宮先生が来た。
夏休みと違い、冬休みは図書室を開放しない。きっと、今年最後になると思った私は帰り際に『先生、よいお年を』と声をかけた。
「ん、あぁ、そっか、よいお年を」
『先生、最近なんで図書室来なかったんですか』
「帰んねーのかよ」
『聞き忘れてたなぁって』
「別にちょっと忙しかっただけ。つーか俺前からそんなに来なかっただろ」
『そうだけど…、急に来なくなった気がしたから』
「俺がいたら、お邪魔だろうなって思ったんですぅ」
『…なんの？』
「お前と相葉の」
『…は？』
「は？って、いや、付き合ってんだろ、お前ら」
『えっ、付き合ってませんけど』
「ハァ！？」
『いや、意味わかんない、なんで先生がキレるの？』
「うそだろ、はぁ〜…なんだそれ…」
ゴトン！と大きな音を立てて、二宮先生は頭を机に置いた。いや、ぶつけた、に近い。痛そう。
「だってお前ら焼却炉の前でキスしてたろーが…、文化祭片付けの日に…」
『えっ、あれみてたんですか！？っていうかキスしてないし！雅紀くんに抱きしめられただけだもん』
「ふぅん…マサキくんにねぇ…。俺あの日は焼却炉担当だったんだよ」
『のぞき見…』
「ちげーわ！見えたんだよ！」
「付き合ってんのかと思ったら付き合ってねぇとか…」とかなんとかぶつぶつ言いながら二宮先生は顔を上げて近くにある紙をぐりぐりとボールペンで真っ黒に塗り始めた。こっわ！
『先生、紙がもったいない』
「マジねーわ、なんだよ相葉、俺にあれだけ嗾けといて自分はひよってんじゃねーよクッソ！この！このっ！」
『ちょっ、えっ、まって、先生！怖いよ！』
慌てて二宮先生の手を止めると、二宮先生はまるで子犬みたいなウルウルした目で私を見上げて、悪魔のような言葉を放った。
「…Aちゃんはさぁ、俺に本気だった？
ねぇ、それとも遊び？
俺の事どう思ってんの？好き？それとも嫌い？」
『…え、えぇ』
それって私の台詞なのでは…とも言いたくなったけど、たぶん、二宮先生は本気でこの質問をしている。悪魔だ、完全に悪魔。いや、小悪魔？わかんない。
『好きか嫌いかのニ択にされると…好き、ですけど…』
「本気？マジで本気で心の底から俺の事好きだなって思った？心底惚れた？」
『い、いや…、そ、そういうと…語弊が』
「だよな？そうだよな！」
ごめん先生、ちょっと言ってる意味が分からないです…。
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かなで(プロフ) - なり。さん» ありがとうございます！悪い言い方だと「尻に敷かれる」なんて言いますが（笑）先生をコントロールしたい婚約者、そして雅紀くんの行方も注目していただけると嬉しいです！ (2020年8月11日 22時) (
レス) id: fab795035e (このIDを非表示/違反報告)
なり。(プロフ) - わぁ!!更新凄く嬉しいです！ コントロール、パワーワードですね。愛する人を、他人を操作、支配できるのか、出来ないのか。次回を楽しみにしてます！ (2020年8月3日 11時) (レス) id: a09df3f8ec (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - 優羽さん» そう言っていただけると書き手冥利に尽きます。これからも楽しんでいただけるものを作れたらと思います。コメントありがとうございました(^^) (2018年12月12日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - どのお話も楽しく読ませていただいてます。中でもcase3はリピ読みしてまして、冒頭はクスッと笑えるお話だったのに段々切なくなって涙しました。バッドエンドなのに清々しい。素敵なお話を読ませていただき感謝してます。 (2018年12月1日 2時) (レス) id: 1bf95b0dcc (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - なり。さん» 想像でしかないのですが私の中では、向こう側へ渡った人たちは悲しくてもきっと残された人の幸せを願ってくれると思うんです。願うことしかできなくなってしまうというか…。こちらこそいつもありがとうございます！なり。さんにまた喜んでいただけるよう頑張ります！ (2018年11月27日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなで
| 作成日時：2018年2月9日 12時
