Case.3 ページ21
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和也と私の家に着くとまーくんが「ニノんち、寄っていい？」と言い出した。
「あ〜、まぁ、いいよ、散らかってるけど」
和也が少し悩んだような表情をした。おかしいなぁ…、うち、そんな散らかってないはずだけど…。和也も私もあまり物を持たない性格なので、二人で住んでいても元々家の中のものが少ないからか散らかりにくいのが利点だった。それと、私はたまに忙しくなると洋服を散らかす癖があったけど和也が片付けてくれたりするし…、私も余裕ができたらすぐ片付けるし。
和也、忙しかったのかな、最近。
和也とまーくんの後に続いて、私もふわふわと車を降りた。
二人が部屋に入っていったので、私も玄関のドアをすり抜けて中に入ろうとした。その瞬間だった。
バチン！！
『えっ…？』
んっ？？何が起こった？えっ？なに？私、何かに弾かれた？
もう一度、扉をすり抜けようとカラダをふわっとぶつける。
バチン！
…やっぱりだめだ。
なぜだか分からないけど、中に入れない。
まるでバリアのようなものが張られているように、勢いよく弾かれてしまう。
なによ〜！これじゃあ中で和也とまーくんが何の話をしているのか聞けないじゃない！
ベランダから入れるかと思ってカラダを反対側に飛ばし、ベランダ乗ろうとしたのに、やっぱり弾かれた。ベランダの窓のカーテンもしっかり閉められていて、部屋の様子が分からない。これじゃ完全に締め出された状態じゃん！
マンションの屋根に上がって、ぼんやり空を見る。
和也が浮気してるなんて、そっか、そうだよね、こんな可愛げない女より、きれいな女子力のある人に絆されたら…そうだ、忘れてたけど、和也ってモテるんだった…。なんで私なんかと付き合ってたんだろう。
どんどんどんどん悲しくなってきて、でも、涙なんか出ない。だって私、もう死んじゃったんだもん。涙の代わりにため息をついたら、空からぽつりぽつりと雨が降ってきた。これからは、空が私の代わりに泣いてくれるのかも。
涙の代わりの雨の雫、頬に流そうとしたけど雨は私を通り過ぎて、屋根に打ち付けられる。
あぁ、やだなぁ、やだ、こんなんじゃ死にきれない。
自分でも気づいてなかったみたい。和也がこんなに大好きだったなんて。
さっき和也が言ってた言葉、そっくりそのまま私に染みこんできた。
「「いままで一緒にいてこれっぽっちも思い出そうともしなかったのに」」
こんな、いまさら思ったって、何も変わらないのに。
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かなで(プロフ) - なり。さん» ありがとうございます！悪い言い方だと「尻に敷かれる」なんて言いますが（笑）先生をコントロールしたい婚約者、そして雅紀くんの行方も注目していただけると嬉しいです！ (2020年8月11日 22時) (
レス) id: fab795035e (このIDを非表示/違反報告)
なり。(プロフ) - わぁ!!更新凄く嬉しいです！ コントロール、パワーワードですね。愛する人を、他人を操作、支配できるのか、出来ないのか。次回を楽しみにしてます！ (2020年8月3日 11時) (レス) id: a09df3f8ec (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - 優羽さん» そう言っていただけると書き手冥利に尽きます。これからも楽しんでいただけるものを作れたらと思います。コメントありがとうございました(^^) (2018年12月12日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - どのお話も楽しく読ませていただいてます。中でもcase3はリピ読みしてまして、冒頭はクスッと笑えるお話だったのに段々切なくなって涙しました。バッドエンドなのに清々しい。素敵なお話を読ませていただき感謝してます。 (2018年12月1日 2時) (レス) id: 1bf95b0dcc (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - なり。さん» 想像でしかないのですが私の中では、向こう側へ渡った人たちは悲しくてもきっと残された人の幸せを願ってくれると思うんです。願うことしかできなくなってしまうというか…。こちらこそいつもありがとうございます！なり。さんにまた喜んでいただけるよう頑張ります！ (2018年11月27日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなで
| 作成日時：2018年2月9日 12時
