Case.3 ページ17
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私と和也の関係は、まぁ、いわゆる腐れ縁ってやつで、
気付いたら彼氏と彼女なんて関係になってて、
長い間一緒にいたはずなのに
私は和也のタバコの匂いがいつまでたっても嫌いで、
和也は私がつける香水を嫌っていた。
小さいころ、和也は男の子なのになぜか甘くていい香りがする人で、いつも不思議に思っていた。周りの男の子は外で遊んできたときに触った土や、かいた汗のにおいがするのに。和也はずっと甘い香りを漂わせていた。それをクラスの友達に話したら「そんな匂いなんかしないよ！Aちゃんって変なの！」と言われた。それ以来、その甘い香りについては誰にも話したことはない。
そんな和也から漂う不思議な甘い香りは、和也が大学を卒業したころから吸い出したタバコの煙によってかき消されるようになった。
私は、大人ぶってタバコを吸う和也は嫌いになった。
『タバコばっか吸ってんじゃないよ！私の葬式中にまで！フーーーッ！！』
ちょっとしたいたずら心とでも言いますかね。
試しに私は和也の持つタバコの先を思いっきり吹いてみた。
「う、わっ、なんだよ…」
するとあら不思議、タバコの先の灰が火種ごとポロリと落ちて、偶然近くに溜まっていた雨水にぽちゃりと落ちてしまった。
あ、たばこ、消えちゃった。
和也は残った吸い殻を近くの灰皿にこすりつけると、チッと舌打ちをした。
「なぁんだよお前、いいじゃねぇかよ吸わせろよ」
『ダメ！はやく向こう戻りなさいよ！』
聞こえるわけもないのに和也にぷんすか怒る私もどうかしちゃってんのかしら。
「…もしかして、あの写真、お母さんに渡したの怒ってんの？」
『え？』
聞こえるわけもないのに、見えるわけもないのに。
和也はまるで本当に私が隣に立っていることに気付いているように話し始めた。
「…Aはふいに撮られたからいやだっていうけどさ、俺はあの写真けっこう気に入ってるんだけどね」
『…ふぅん』
「遺影にまで使ってもらえるとは思ってなかったけど。つーか俺のお気に入り、なに遺影にしてんだよばーか」
『そっ、それはしょうがないじゃん…私だって自分がこんなに早く死ぬなんて思ってなかったよ…』
「みんなさぁ、遺影みて”可愛い笑顔だね”て言って泣くんだよ」
『お世辞だよ、お世辞』
「言われなくたって可愛いなんて知ってるっつーの。Aが俺だけに見せた顔、撮った瞬間なんだから」
『…まっ、！』
生きてたときに言ってよ…それ…。
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かなで(プロフ) - なり。さん» ありがとうございます！悪い言い方だと「尻に敷かれる」なんて言いますが（笑）先生をコントロールしたい婚約者、そして雅紀くんの行方も注目していただけると嬉しいです！ (2020年8月11日 22時) (
レス) id: fab795035e (このIDを非表示/違反報告)
なり。(プロフ) - わぁ!!更新凄く嬉しいです！ コントロール、パワーワードですね。愛する人を、他人を操作、支配できるのか、出来ないのか。次回を楽しみにしてます！ (2020年8月3日 11時) (レス) id: a09df3f8ec (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - 優羽さん» そう言っていただけると書き手冥利に尽きます。これからも楽しんでいただけるものを作れたらと思います。コメントありがとうございました(^^) (2018年12月12日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
優羽(プロフ) - どのお話も楽しく読ませていただいてます。中でもcase3はリピ読みしてまして、冒頭はクスッと笑えるお話だったのに段々切なくなって涙しました。バッドエンドなのに清々しい。素敵なお話を読ませていただき感謝してます。 (2018年12月1日 2時) (レス) id: 1bf95b0dcc (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - なり。さん» 想像でしかないのですが私の中では、向こう側へ渡った人たちは悲しくてもきっと残された人の幸せを願ってくれると思うんです。願うことしかできなくなってしまうというか…。こちらこそいつもありがとうございます！なり。さんにまた喜んでいただけるよう頑張ります！ (2018年11月27日 14時) (レス) id: 44386e0598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなで
| 作成日時：2018年2月9日 12時
