【K.N】想い出の作り方 (ページ4)

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４．

あれから、１ヶ月ほど経った。
私の生活はデスクワークの頃とすっかり違う生活になってしまった。９時５時の規則正しい勤務時間が恋しくなるほど、嵐がどれだけ忙しいかを感じる。私は二宮さん個人の仕事についてることが主なため、あまり５人の現場には行かない。そのため笹沢さんたちほどハードではないのだが、それでもやはり、普通ではない。

今日は１日、二宮さん個人での雑誌撮影が朝から日付が変わる時間まである、というなかなかハードなスケジュールだ。

７時半。二宮さんの住む高級マンションの駐車場に車を停め、電話をかける。

Prrrr…

和「…はい」

『二宮さん、おはようございます。駐車場に停めてますので、』

和「あー、はいはい」

ぶちっと電話を切られる。…毎度のことだ。しばらくするとだるそうに歩きながら、盛大な寝癖の付いた頭をぽりぽりとかきながら二宮さんが車に乗ってきた。

『おはようございます、二宮さん。今日は連載の撮影から「あー、いい、昨日スケジュール聞いたし。現場つくまで寝かせて。お前の声聞きたくないの、察して」

『…はい』

車を走らせる。朝から嫌味満載だが、これはまだ優しくなったほうだ。最初の頃は私の迎えはいらないから自分で現場に向かうと言って、さすがの笹沢さんにも怒られていたほどだった。どうやら二宮さんは笹沢さんには頭が上がらないらしい。朝、機嫌がめちゃくちゃ悪い時なんかは最初の「おはようございます」の「よ」のあたりで電話を切られることだってある。

…よく１ヶ月耐えたよな、私。
二宮さんはいつも帰りの車の中で私に聞いてくることがある。

和「で、お前いつになったら辞めんの？」

『いつになっても辞めません』

和「はぁ、」

正直、二宮さんが私をこれだけ嫌う理由が全くわからない。自分で言うのも何だが、マネージャーとしては新米ながらもなかなかうまくやれている方だとは思う。一体なにがあって、彼はこれだけ自分の専属のマネージャーを嫌うのか…。というかただ私が嫌いなのかも…？

『あの、二宮さん』

和「…」

『私の何が嫌いですか？』

和「全部」

…それ、アイドルが女子に向かって言っていい言葉なんですかね。

....